暖冬予報で供給リスクが相殺され、天然ガス価格は3.10ドルを下回る

暖冬予報で供給リスクが相殺され、天然ガス価格は3.10ドルを下回る
供給混乱にもかかわらずガス価格は下落

​天然ガスは10月26日、約3.09ドル/MMBtuで取引されており、10月の高値である約3.55~3.57ドルから急落した後、持ち直しを試みています。4時間足チャートでは、価格は主要な移動平均線をすべて下回ったままです。短期移動平均線は約3.16~3.18ドル、中期移動平均線は3.29~3.32ドル付近に集中し、長期移動平均線は3.18~3.20ドル近辺にあります。

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温暖な予報で暖房需要の見通しが後退

価格を押し下げている主な要因は、11月初旬まで米国の大半、とりわけ北部と東部で温暖な天候が続くとの予報です。これにより、暖房用ガスの消費見通しが弱まっています。一方、米国のヘンリーハブ先物は一段と大きく下落し、10月26日には約2.51~2.53ドル/MMBtuとなりました。ただし、ここに示す銘柄の価格は、契約仕様や価格設定の違いから、これを上回っています。

10月22日に公表された最新のEIA報告によると、10月16日までの週に米国の天然ガス在庫は770億立方フィート増加し、総在庫は3.644兆立方フィートとなりました。前年同期を1,520億立方フィート(4%)下回る一方、5年平均は350億立方フィート(1%)上回っています。同時に、週間の在庫積み増し量は約870億立方フィートという過去の平均を下回り、季節平均と比べた供給過剰が徐々に縮小していることを示しています。

一方、サウスセントラル地域の在庫は前年同期を10%、5年平均を約3.4%下回っていますが、東部と中西部の状況には比較的余裕があります。全体として、在庫水準はまだ供給不足を示していませんが、市場は前年より少ない備蓄を抱えて暖房シーズンに入っています。次回のEIA報告は10月29日に公表され、温暖な天候が貯蔵施設へのガス注入をどの程度促しているかを見極める手掛かりとなります。

中東情勢の混乱で地域間の価格差が拡大

現在の価格が軟調ななかでも、中東情勢は米国の天然ガス市場を支える重要な潜在要因の一つです。ホルムズ海峡の船舶輸送の混乱により、カタールとUAEからのLNG輸出が制限され、欧州とアジアの買い手による供給確保競争が激化しています。こうしたなか、欧州のTTF価格は10月26日に約97.50ユーロ/MWhまで上昇し、2022年後半以来の高値を付けました。一方、欧州のガス貯蔵率は約74.6%に低下しました。

欧州と米国の価格差は、地域ごとの需給バランスの違いを反映しています。米国は在庫が潤沢で生産量も多い一方、欧州の消費者はLNG輸入への依存度が高くなっています。ホルムズ海峡経由の供給制限が長期化すれば、米国の輸出施設の稼働率を高く保つ要因となり得ますが、ヘンリーハブ価格への影響は輸出能力をさらに引き上げられるかどうかに左右されます。

NATGAS、重要なサポート割れで一段安のリスク

今後数週間の天然ガス価格は、気象予報、在庫注入ペース、輸出需要の底堅さが組み合わさって決まる見通しです。すでに記事「暖冬で需要が弱まり、天然ガスは一段安へ」で警告したように、3.10ドル付近のサポートを割り込んだことで、NATGASの短期見通しは大幅に悪化しました。ただし、さらなる下落は3.10~2.90ドルのサポートゾーンで抑えられる可能性があります。

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