味の素は2027年3月期に最終減益を見込む一方、半導体向け電子材料や海外の高付加価値食品の拡販で増収と事業利益の拡大を見込んでいる。市場予想を下回る純利益見通しとなるなか、年間配当は増配を計画し、半導体向け絶縁材料の新工場用地取得も打ち出した。
ハイライト
- 味の素は2027年3月期の連結純利益を前期比11%減の1200億円と予想し、市場予想平均の1390億円を下回る見通し。
- 売上高は9%増の1兆7230億円、主に生成AI向け半導体用絶縁材料やヘルスケア・高付加価値食品の販売増が寄与する。
- 半導体材料新工場を2032年稼働予定で土地取得を発表し、AI需要を見据えた群馬工場並みの増産体制を計画。
業績見通しと成長分野
日本経済新聞によると、味の素は5月7日、2027年3月期の連結純利益が前期比11%減の1200億円になる見通しだと発表した。前期に本社ビルの建物や土地の売却益406億円を計上した反動が響く。一方で、売上高は9%増の1兆7230億円、事業利益は9%増の1970億円を見込む。
成長をけん引するのは、生成AI向けサーバー需要の拡大を背景とする半導体向け絶縁材料の販売だ。医薬品や電子材料を含む「ヘルスケア等」の事業利益は前期比137億円の増益を見込む。主力の調味料・食品事業でも、タイやインドネシアを中心に風味調味料や減塩、減脂など健康配慮型の高付加価値製品の販売が伸び、2%の増益を見込む。
純利益の会社予想は事前の市場予想平均であるQUICKコンセンサスの1390億円を下回る。年間配当は1株当たり50円とし、前期比2円の増配を計画する。なお、2026年3月期の連結決算は売上高が前の期比3%増の1兆5837億円、純利益が92%増の1346億円で、いずれも過去最高だった。
原材料高リスクと生産増強計画
会社は中東情勢の深刻化による影響を今回の業績予想に織り込んでいない。原油価格が1バレル110ドル、為替が1ドル=158円程度で期末まで推移した場合、事業利益を300億円規模押し下げる可能性があるとしている。中村茂雄社長は記者会見で「打ち返せる」と述べ、包材の薄肉化などのコスト削減や価格転嫁で対応する考えを示している。同社は同日、子会社を通じて半導体向け絶縁材料「味の素ビルドアップフィルム(ABF)」の新工場向け土地を取得すると発表した。新工場は2032年の稼働開始を予定し、中村社長は、現在の主力拠点である群馬工場と同等以上の生産能力を確保できる工場を建設する計画だとしている。AI関連需要の取り込みをにらみ、電子材料分野での供給体制強化が中長期の成長戦略の柱になる。
当社の以前の記事では、中東情勢の緊張緩和期待や原油安を背景に、東京株式市場でリスク選好が強まり日経平均が大きく上昇した動きを整理しました。併せて、AI・半導体関連の好決算が追い風となり、ハイテク株(半導体株)への資金流入が目立っていた点も解説しています。
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