島津製作所は2029年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画で、M&Aに2000億円を投じる方針を打ち出した。装置の保守運用や消耗品などの継続課金型事業を拡大するとともに、半導体関連の成長需要も取り込み、収益性の引き上げを狙う。
ハイライト
- 島津製作所は2026年3月期までのM&A投資枠を2000億円へ6割拡大し、保守・半導体分野の企業買収を強化する方針。
- 2026年3月期目標として連結売上高6800億円(21%増)、営業利益1000億円(36%増)、半導体事業売上高420億円(9割増)を掲げる。
- 北米・インド市場売上高は35%増を見込み、累進配当と配当性向30%以上維持し、2035年までに売上高1兆円・海外比率66%を初めて目標とする。
中計の投資方針と収益改善策
日経が4日報じたところによると、同社は2026年3月期までの3年間と比べて6割増となるM&A投資枠を設定し、試薬などの消耗品メーカーや他社製機器の修理も手がける企業、半導体関連企業などを買収候補として想定している。前の中期経営計画ではチェコの電子顕微鏡メーカー、テスキャンの買収に1000億円を投じたが、新計画ではこれを上回る規模の資金を投下する。
同社は部品交換やメンテナンスを含む保守運用事業で、リカーリング型ビジネスを強化する方針だ。計測機器事業の売上高に占めるリカーリング比率は現在の39%から43%へ引き上げる計画で、売上高営業利益率も2026年3月期の13.1%から14.7%への改善を見込む。
連結売上高は2026年3月期比21%増の6800億円、営業利益は36%増の1000億円を目標に掲げた。前の中計では売上高目標は達成した一方で、中国市場の減速や保守運用事業の伸び悩みが響き、営業利益目標は未達だった。
北米・インドと半導体分野の成長戦略
山本靖則社長は4日の記者会見で、ヘルスケア、リカーリング、半導体で成長したいと述べ、自社にない技術はM&Aで強化する考えを示した。海外では北米とインドに注力し、両市場の売上高合計で35%増を見込む。北米では、2024年に開所した研究開発拠点を活用して顧客ニーズに応じた製品開発を進める。インドではジェネリック医薬品の生産拠点として計測機器需要の拡大が見込まれており、2027年竣工予定の現地工場に加え、研究開発センターの開設も検討する。
半導体向け事業の売上高は9割増の420億円を目指す。半導体製造装置向けのターボ分子ポンプに加え、超純水やガスの計測装置の販売拡大を進め、買収したテスキャンの電子顕微鏡でも半導体研究開発需要を取り込む。
このほか航空機器事業では、防衛需要の拡大を背景に新規案件の確保を進める。株主還元では累進配当と配当性向30%以上を維持し、総額610億円以上の還元を計画するほか、2035年までに売上高1兆円、海外比率66%を目指す長期目標も初めて示した。
当社の以前の記事では、東証改革を背景に配当性向を引き上げる企業が増え、高配当株への関心が高まっている一方で、配当利回りの高さだけで割安と判断することのリスクを整理しました。株価下落による見かけ上の利回り上昇もあり得るため、配当の持続性や業績の裏付けを併せて見極める必要がある点を指摘しています。
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