ウクライナのドローン各社、アジア向け提携拡大を模索
台湾海峡を巡る緊張と東アジアの防衛費拡大を背景に、ウクライナのドローンメーカーが日本や台湾で生産・調達の協力先開拓を進めている。日本では防衛装備の増産方針と輸出規制緩和が追い風となっており、各社は現地生産や部品供給網の構築を通じてアジア市場への足場固めを狙っている。
ハイライト
- ウクライナのUFORCEやSkyeton、General Cherryは、数千機規模の共同生産や提携を目指し日本の企業・政府と交渉を進めている。
- 日本政府は2024年度防衛予算で約20億ドルをドローン関連に充て、国内生産を年間8万機へ拡大する計画を推進中。
- ウクライナ企業は中国依存低減へ台湾や日本で部品調達・生産提携を模索し、台湾・フィリピン向け協業案件も進行している。
日本で進む生産提携の模索
ロイターが報じたところによると、ウクライナの攻撃ドローンメーカーUFORCEのオレグ・ロギンスキー最高経営責任者は4月に東京を訪れ、日本政府関係者や防衛関連企業に対し、自社ドローンを数千機規模で共同生産する構想を売り込んだ。UFORCEは海上ドローンでの実戦実績を強みに、日本や同盟国の防衛需要に対応できると訴えている。こうした動きはUFORCEに限らない。SkyetonやGeneral Cherryも日本企業との提携を模索しており、Swarmerは日本の自衛隊部隊向けにドローン群制御ソフトの実演を少なくとも1回実施したとしている。Swarmerのアレックス・フィンク社長によれば、4月下旬の試験ではAIソフトを使って日本国内で捜索・攻撃任務を想定した群制御を行い、この実演はRakutenが手配した。
日本の防衛省報道官は、ウクライナのドローン企業との関与についてコメントを避けつつ、日本の「新しい戦い方」に必要な装備の取得に向け、あらゆる選択肢を検討していると述べている。元防衛相の小野寺五典氏も、実際に有効性を示している装備が日本には必要だとして、ウクライナ側の協力提案を歓迎する考えを示している。
東アジア需要と供給網再編の広がり
日本は2022年に大規模な防衛力強化へ踏み出し、昨年後半に高市早苗首相が就任して以降、その流れは加速している。政府は今年度防衛予算でドローン関連に約20億ドルを充て、Japan UAV Associationによる2024年の国内生産約1,000機から、10年末までに年間8万機へ引き上げる計画を進めている。もっとも、この水準でもウクライナが今年目標とする700万機には遠く及ばない。General Cherryの共同創業者スタニスラフ・グリシン氏は、日本はアジア市場に入る最良の道だと述べ、東京訪問では展示会出展に加え、現地の提携候補や日本政府関係者と接触したとしている。Skyetonも長距離ドローンを活用した日本の島しょ監視需要を見込み、昨年に国内で協議を行っている。
ウクライナ企業は販路開拓だけでなく、中国依存の低減も急いでいる。中国はドローン部品の主要供給国だが、一部輸出制限を導入しており、ウクライナのドローン業界団体IRONは5月に台湾・台中へ代表団を派遣し、カメラやマイクロエレクトロニクスなどの部品供給先を探った。IRONのボロディミル・チェルニウク最高経営責任者は、年内に会員企業を東京へ連れて行き、日本での生産提携先探しも進める考えを示している。
台湾でも協力の芽は出ている。台湾企業Jiin Ming Industryのエルソン・チャン氏は、台湾向けに再販売される可能性があるドローンの初期段階案件で、ウクライナ企業と協業していると明らかにした。一方、フィリピンについても、ウクライナのユリア・フェジウ駐フィリピン大使がドローン技術協力を巡る協議を認めており、複数のウクライナ企業幹部は、同国向けの機体は製造能力の高い日本で生産される可能性が高いとみている。
日米同盟の可視化を通じた抑止力強化について、当サイトの以前の記事では、小泉進次郎防衛相がシャングリラ会合後に「同盟の結束を対外的に示すことが抑止の一部になる」と強調した点を整理しました。U.S.の地域関与への見方が揺れるなか、日本が外交・防衛の両面でメッセージ発信を重視し、防衛装備品の調達・輸出や南西シフトなど広範な政策に波及していることも伝えています。
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