中東情勢の混乱を受けた調達先の見直しが進むなか、日本の5月のナフサ輸入は中東依存を大きく下げる構図が鮮明になった。中東以外からの調達は米国と欧州を中心に前年同月の3倍へ急増し、国内供給は2024年の月平均を9割超まで回復している。
ハイライト
- 5月のナフサ輸入量は前年同月比13.8%減の152万キロリットルとなり、中東以外からの調達は139万キロリットルと3倍に増加。
- 米国からの輸入が51万キロリットルで6倍に拡大、EUからも25万キロリットルで3倍となり、供給回復を牽引。
- 5月の国内ナフサ供給量は2024年月平均の9割超に戻り、当初予想を上回ったがコスト低下効果の拡大には時間が必要。
5月貿易統計が示す調達先の転換
財務省が26日に発表した5月の貿易統計(確速値)によると、ナフサ輸入量は前年同月比13.8%減の152万キロリットルとなった。中東以外からの調達は139万キロリットルと3倍に増え、米国と欧州からの流入拡大が全体を支えている。一方で、中東からの輸入は13万キロリットルと89.9%減り、すべてアラブ首長国連邦(UAE)からだった。イランが中東ホルムズ海峡を2月末に事実上封鎖した後もサウジアラビアやカタールからの輸入は続いていたが、足元では米国や欧州連合(EU)への調達シフトが一段と進んでいる。
国別では米国からの輸入が51万キロリットルと6倍に増え、最大の調達先となった。EUからの輸入も25万キロリットルと3倍に拡大している。
国内供給の持ち直しとコスト浸透
経済産業省は5月の国内ナフサ供給量について、国内精製分と代替調達分を合わせて2024年の月平均約280万キロリットルの85%まで戻ると見込んでいた。実際には国内精製分がおよそ110万キロリットル、代替調達分が152万キロリットルとなり、合計で2024年月平均の9割超に達して想定を上回った。第一ライフ資産運用経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、供給が安定すれば需給の逼迫は解消に向かうとの見方を示している。その一方で、これまで高値でナフサを仕入れた業者も多く、コスト低下の効果が幅広く行き渡るまでには一定の時間がかかる可能性がある。
当社の以前の記事では、ホルムズ海峡の事実上の封鎖など中東情勢の緊迫を受けて電力価格の上昇圧力が強まるなか、JERAが石炭火力を活用した法人向けPPAの再開を検討している点を取り上げました。石油やLNGより相対的に価格変動が小さい燃料を組み合わせて調達コストを抑える狙いに加え、需給逼迫時の供給余力確保や燃料調達の分散化という位置づけも整理しています。
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