日本では長期金利の上昇を背景に国内債券への関心が高まるなか、2026年3月に円建て社債で運用する世界初のETFが東京証券取引所に上場している。もっとも、国債より高い利回りが見込まれる社債型投信が今後すぐに増える環境にはなく、発行体の少なさや制度面の制約が普及の壁として残っている。
ハイライト
- 東証上場の『iシェアーズ 高格付け日本円社債ETF』は、円建て社債供給の限定性から投資信託拡大に壁が残る。
- 社債供給はTOPIX採用454社に集中し、98%がA格以上で利回りも2.1%強と個人向け国債5年物の1.86%に上乗せ効果は限定的。
- 2026年4月に経産省が公表した報告書では最低投資単位1億円問題の制度改正が市場拡大のカギを握ると指摘。
利回り妙味と商品拡大の壁
日経マネーによると、東証に上場した「iシェアーズ 高格付け日本円社債ETF」は、ETFに限らず見ても円建て社債のみで運用する数少ない投資信託にとどまっている。国内では個人向け国債の発行額が2025年度に6兆円を超え、2007年以降で最高水準となるなど債券需要が強まっているが、社債ファンドの拡大は容易ではない状況だ。背景には、円建て公募普通社債の発行体が限られていることがある。社債発行実績のある日本企業はTOPIX採用企業の中でも454社にとどまり、発行額は上位数社に集中し、格付けも98%がA以上となっている。超優良企業に発行が偏るため供給が少なく、利回り面でも投資家にとって大きな魅力を出しにくい。
債券に詳しいファイナンシャルプランナーの前川貢氏は、国債利回りが上昇している現状では、あえて社債を選ぶ意義は小さいとみている。日経マネー編集部の6月上旬時点の試算では、同ETFの平均残存期間は4年強、平均最終利回りは2.1%強で、個人向け国債5年物の1.86%に対し、信託報酬0.165%を考慮すると上乗せ効果は限定的となる。
制度見直しと外資参入の可能性
一方で、市場活性化につながる変化の兆しも出ている。米Googleの親会社Alphabetは2026年5月に総額5765億円の円建て社債を発行しており、前川氏は日本での設備投資向けの円資金需要が増していると指摘する。外資の発行が広がれば、発行条件の競争が進み、投資家にとって魅力的な社債が増える可能性がある。制度面では、経済産業省が2025年10月から社債市場に関する研究会を開き、2026年4月に中間報告書を公表している。報告書では、日本の社債市場が低調な理由の一つとして、最低投資単位が1億円と大きい銘柄が多い点を挙げた。1億円未満の発行では社債管理者の設置が必要となりコストが増すためで、ファンズ特別参与の大橋俊安氏は、こうした仕組みが機関投資家の分散投資や投信設定のしにくさにつながっているとみる。
制度改正で最低投資単位の問題が緩和され、利回りと流動性が改善すれば、社債投信は中リスク中リターンの商品として存在感を高める余地がある。日本の債券市場では国債偏重が続いているが、発行基盤の拡充が進むかどうかが社債型商品の裾野拡大の焦点になる。
当社の以前の記事では、Alphabet(GOOGL)がダウ平均に組み入れられたことで、インデックス連動型ファンドを通じたパッシブ資金の流入が見込まれる点を整理しました。あわせて、過去最大級の株式資本調達や配当増額により財務の柔軟性と株主還元姿勢が強まったこと、テクニカル面ではレンジ推移を想定しつつ短期的な過熱感や下振れリスクにも触れています。
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