国内酒類市場の伸び悩みが続くなか、キリンホールディングスはヘルスサイエンス事業を成長の中核に据え、アジア太平洋地域を軸に収益拡大を進める。2035年12月期の事業利益を2025年12月期の6.8倍にあたる750億円、売上収益を約2倍の5000億円に引き上げる計画だ。
ハイライト
- キリンHDは2035年12月期にヘルスサイエンス事業の売上収益3,000億円・事業利益750億円を目指し、M&Aで1,000億円分を計画。
- 地域別平均成長率は2030年までに中国11%、東南アジア12%、オセアニア7%と見込み、APAC全体の連携強化を重視。
- プラズマ乳酸菌事業の世界売上は2030年に600億円、利益率20%を目標とし、サプリや飲料新商品を豪州・シンガポールで展開。
APAC統括体制と成長目標
日本経済新聞によると、キリンHDは8日に都内で開いた投資家向けイベント「Investor Day 2026」で、健康食品などを含むヘルスサイエンス事業の拡大方針を示した。4月にオーストラリアで新設した海外関連事業の統括会社「キリン・ヘルスサイエンス・インターナショナル(KHSI)」を中核に据え、地域単位だった運営から、サプリメント、スキンケア、食品飲料など分野別の戦略立案へ切り替える。
調達やシステムの統合によって100億円超のコスト削減効果を見込む。KHSIは2035年12月期に売上収益3000億円を目指し、このうち1000億円はM&Aで取得した企業や事業から稼ぐ計画だ。
地域別では、2030年までの年平均成長率を中国で11%、東南アジアで12%、オセアニアで7%と見込む。ファンケルやBlackmoresなどグループの事業基盤を活用し、APACでの連携を強める方針を打ち出している。
機能性素材の展開と事業の柱化
同社がヘルスサイエンス事業全体で重点を置くのが、機能性素材「プラズマ乳酸菌」事業だ。オーストラリアの薬品・医薬品行政局から使用承認を得ており、2027年以降のサプリメント販売を視野に入れるほか、7月には同素材を配合した飲料をシンガポールで発売する。オーストラリアでの事業拡大により、プラズマ乳酸菌事業の全世界売上収益は2030年12月期に600億円、事業利益率は20%を目指す。あわせて、傘下の協和発酵バイオが開発した「シチコリン」を配合したサプリメントも7月にオーストラリアで投入し、2023年に傘下に収めたBlackmoresの販売網を活用する。
健康志向の高まりを追い風に、キリンHDはヘルスサイエンスを酒類、医薬に並ぶ「第3の柱」と位置付ける。既存の飲料事業に依存しない収益基盤を築くうえで、APACでの展開力と機能性素材の育成が今後の成長戦略の要となる。
当社の以前の記事では、イーライリリー(LLY)がペンシルベニア州での35億ドル規模の生産拡張投資や、香港・マカオでの流通提携などを通じて国際展開を強めている点を整理しました。あわせて、規制面の進展や開発パイプラインへの期待が株価の強気モメンタムを下支えし、短期的な想定レンジとして1,210~1,261ドルが意識されることも伝えています。
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