EUのGoogle制裁金確定、デジタル競争政策の実効性に課題
欧州のデジタル競争政策は、巨大IT企業の市場支配を是正できるかどうかが改めて問われている。Googleに対するEUの制裁金確定は規制当局の判断を裏付ける一方、検索やAIを巡る競争環境の改善には執行の迅速性と制度設計の見直しが必要だ。
ハイライト
- 欧州司法裁判所はGoogleの競争法違反を認定し、米IT企業向け過去最大の41億3000万ユーロの制裁金支払いが確定した。
- GoogleはAndroid端末で他社検索サービス選択を容易にする変更を導入したが、市場シェアに大きな変化は見られない。
- デジタル市場法などEUの予防的規制は競争促進を狙う一方で、サービス利便性や技術革新の阻害など副作用が指摘されている。
アンドロイド巡る制裁の経緯
日経が伝えたところによると、欧州委員会はGoogleが基本ソフトのAndroidを提供する際、自社の検索サービスの標準搭載を求めたことなどを競争法違反と認定し、2018年に制裁金の支払いを命じていた。Googleはこれを不服として争っていたが、欧州司法裁判所が欧州委の判断を支持し、米IT企業向けとして過去最高額となる41億3000万ユーロの支払いが確定した。Googleは欧州委の指摘を受け、Android搭載スマートフォンで他社検索サービスを選びやすくする変更を加えている。ただ、こうした対応は日本などにも広がっているものの、市場シェアは大きく変わっていない。
IT市場は技術進化が速く、いったん支配構造が固まると競争の回復が難しい。欧州委は2015年に調査を始めたが、制裁金の確定まで10年超を要しており、競争当局には機を逃さない執行能力の強化が求められる。
AI時代の規制効果と副作用
足元では生成AIの急速な発展に伴い、Googleなどが高いシェアを持つOSとAIサービスを抱き合わせて提供しているとの批判も出ている。AIは幅広い産業や社会の基盤となりつつあり、健全な競争環境の確保は一段と重要になっている。一方で、EUが導入したデジタル市場法(DMA)などの予防的規制には課題も残る。事後規制を補完する狙いがある半面、サービスの利便性低下や技術革新の阻害といった副作用も指摘されている。
欧州中央銀行前総裁のドラギ氏は2024年の産業競争力報告書で、欧州では革新的なIT企業が生まれていないと指摘し、過剰規制に警鐘を鳴らした。規制だけに頼らず、研究開発投資の拡大や技術人材の厚みを増す取り組みも、日本を含む各国の競争政策にとって重要な論点となっている。
当社の以前の記事では、AppleがBroadcomと300億ドル超の複数年チップ供給契約を結び、米国内の製造基盤強化とサプライチェーンリスク低減を進めている点を整理しました。あわせて、EU裁判所がApp StoreとiOSをデジタル市場法(DMA)の強化されたコンプライアンス対象と位置付け、規制面での不透明感が増していることも取り上げました。
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