日本銀行、2026年6月の国会報告で景気の緩やかな回復と市場変動を示す
日本銀行は2026年6月、2025年10月から2026年3月までの経済と金融の動向をまとめた半期報告を国会に提出した。報告では、景気は一部に弱さを残しながらも緩やかに回復し、U.S.関税や中東情勢の緊張が企業活動と市場心理に影響したことが示された。
ハイライト
- 日本銀行は2025年10月~2026年3月の経済が緩やかに回復し、企業収益は高水準を維持するも製造業は関税で下押しと報告。
- 消費者物価指数(生鮮除く)の前年比はおおむね2.5%~3.0%で推移し、期間後半はエネルギー対策で2%割れまで低下した。
- 3月末のドル円は159~160円台、日経平均株価は5万1000円台~5万2000円台で推移し、民間銀行貸出残高は前年比4.5%~5.5%増だった。
2025年度下期の景気と物価動向
日本銀行の半期報告によると(Bank of Japan)、2025年10月から2026年3月までの日本経済は、全体として緩やかに回復していた。輸出と鉱工業生産は、U.S.関税引き上げの影響を受けつつも、基調としておおむね横ばいで推移していた。
企業収益は全体として高水準を維持していたが、製造業では関税による下押し圧力がみられていた。企業の業況感は良好な水準にあった一方、期間末にかけては中東情勢の影響も受けていた。このような環境のもとで、設備投資は緩やかな増加基調をたどっていた。
個人消費は、雇用と所得環境の改善を背景に底堅く推移していたが、物価上昇の影響を受けていた。一方で、住宅投資は減少基調を続け、公共投資はおおむね横ばいだった。労働需給は引き締まった状態が続いていた。
物価面では、生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比は、おおむね2.5%から3.0%の範囲で推移していた。賃上げ分の販売価格への転嫁に加え、コメ価格など食料価格の上昇が押し上げ要因となっていたが、期間後半には政府のエネルギー価格対策などを背景に2%を下回る水準まで伸び率が低下していた。予想物価上昇率は緩やかに高まっていた。
金利、為替、資金調達への波及
世界の金融市場では、世界経済の先行き不透明感の後退を受けて2026年2月までは市場心理の改善が続いていたが、その後は中東情勢の緊張激化を受けて慎重姿勢が強まっていた。国内の短期金融市場では、無担保コール翌日物金利は2025年12月の金融政策決定会合までは0.5%程度で推移し、その後の運営方針変更を受けて0.75%程度となっていた。債券市場では、10年物国債利回りが2026年1月中旬にかけて大きく上昇した後、2月下旬にかけて買い戻しで低下し、3月には原油高を伴う中東情勢の緊張を背景に再び上昇していた。日経平均株価は期間を通じて大きく上昇し、2月までは企業業績の堅調さや政府の経済対策への期待が支えとなったが、3月以降はリスク回避姿勢の強まりで下落した。3月末時点では5万1000円台から5万2000円台となっていた。
為替市場では、円はU.S.ドルに対して下落し、3月末には1ドル159円台から160円台となっていた。ユーロに対しても円安が進んでいた。企業金融では、資金調達コストが上昇する一方、経済活動の回復や企業の買収案件などを背景に資金需要は増加していた。金融機関の貸出態度は企業からみて緩和的で、民間銀行貸出残高の前年比伸び率は4.5%から5.5%程度だった。CPと社債の発行残高の前年比伸び率は、過去の大型発行の影響もあって7.0%から7.5%程度となっていた。
マネタリーベースは、国債買い入れ額の減少と貸出増加支援策による貸付実行額の減少を受けて、前年比の減少率が拡大していた。マネーストックM2の前年比伸び率は1.5%から2.0%程度で推移していた。
当サイトの以前の記事では、日銀が政策金利を1%へ引き上げた局面で、預金収入の増加といった家計へのプラス効果が見込まれる一方、変動金利型住宅ローン世帯や中小企業では借入コスト上昇による負担増が強まり得る点を整理しました。あわせて、金利上昇が投資判断や資金繰り、不動産・住宅分野の動きにも影響し、さらに利上げ後も円安圧力が続く可能性があることを指摘しています。
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