中東情勢の緊迫でエネルギー高が長引く懸念が強まるなか、主要中央銀行は物価安定を優先する金融政策への転換を迫られている。ECBは主要政策金利を0.25%引き上げて2.25%とし、景気減速リスクを抱えながらもインフレ抑制を優先する姿勢を示している。
ハイライト
- ECBは11日の理事会で主要政策金利を0.25%引き上げ、約3年ぶりの利上げを実施しインフレ抑制へ転換。
- ECBスタッフ見通しは2026〜2027年のインフレ率を上方修正し、成長率は下方修正、スタグフレーション懸念を反映。
- 欧州の利上げ再開を背景に日銀が16日に半年ぶりの利上げ見通し、FRBも早期利上げ論が浮上し政策圧力が強まる。
ECBの利上げ判断と物価見通し
日本経済新聞によると、ECBは11日の理事会で主要政策金利の0.25%引き上げを決め、利上げは約3年ぶりとなる。中東紛争の勃発後、G7関連の中央銀行による利上げとしては初めてで、エネルギー価格上昇がユーロ圏の物価に与える影響を重くみた判断といえる。ラガルド総裁は記者会見で、インフレの高まりや広がり、長期化の見通しと上振れリスクへの警戒を示している。インフレを制御不能な状態に放置すれば、物価安定の水準に戻すのが一段と難しくなるとの認識も示している。
ECBが更新したスタッフ見通しでは、26〜27年のインフレ率を引き上げる一方、成長率は下方修正している。物価高と景気停滞が同時進行するスタグフレーションに近い状況への懸念も意識されている。
市場では年内の追加利上げ観測が多いが、ラガルド総裁は会合ごとの状況に応じて決定すると述べ、明確な道筋の提示は避けている。賃金に起因する二次的な波及効果はまだみられないとしつつ、今後数カ月は注意深く監視する姿勢を示している。
日銀とFRBに広がる政策圧力
欧州の利上げ再開を受け、ほかの主要中央銀行にもインフレ圧力への対応が問われている。日銀は16日の金融政策決定会合で半年ぶりの利上げを決める公算が大きく、その後の追加引き締め姿勢に市場の関心が集まっている。米連邦準備理事会、FRBも、これまで年内の利下げ見通しを示してきたが、足元では物価指標の上振れと堅調な雇用を背景に早期の利上げ論が浮上しつつある。物価と景気の両面を見極める難しい局面が続いている。
各中央銀行の政策決定や情報発信は、外国為替市場を含む金融市場の大きな変動につながる可能性がある。インフレ抑制と景気下支えの両立が難しくなるなか、今後の政策運営は地域経済と市場の双方に強い影響を与えそうだ。
当サイトの以前の記事では、日銀の植田和男総裁が治療のため入院し、6月の金融政策決定会合を欠席する見通しとなったことを取り上げました。利上げ観測が強まる局面でも決定自体への影響は限定的とみられる一方、総裁不在により将来の金利経路に関する発信が慎重になり、年内の追加利上げ見通しが読みづらくなる点を整理しています。
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