フランス東部エビアンで開かれたG7サミットは17日に閉幕し、米国とイランの戦闘終結合意を受けてホルムズ海峡の航行再開など中東安定へ協力する姿勢を打ち出した。包括的な首脳宣言は2年連続で見送る一方、地政学や重要鉱物など分野別に9本の成果文書をまとめ、対立回避と実務協調を優先する枠組みの変化が鮮明になった。
ハイライト
- G7は米国とイランの戦闘終結合意を受け、ホルムズ海峡の安定化や機雷除去で協調し原油価格安定を図る姿勢を示した。
- 包括的な首脳宣言を回避し、地政学や重要鉱物など9分野ごとの成果文書を公表し実務的な政策協調へ軸足を移した。
- G7サミットはブラジル、韓国、ケニア、インド、エジプトなどパートナー国を拡大招待し、中東含む地政学リスク対応の枠組み拡大を印象付けた。
中東安定と分野別合意の構図
日経新聞が報じたところによると、今回の首脳会議では米国とイランの戦闘終結合意が直前に打ち出されたことを受け、G7各国はホルムズ海峡の早期安定化で足並みをそろえた。エネルギー危機への警戒が残るなか、機雷除去を含む協力が原油価格の安定にもつながるとの見方があり、首脳間では全面対立を避ける運営が優先された。
首脳宣言を見送る流れは2025年6月のG7カナナスキスサミットに続くもので、今回は包括文書の代わりに9本の成果文書を公表した。地政学上の課題や重要鉱物など、合意可能な分野ごとに文書化する方式を通じて、G7は一枚岩の演出よりも政策単位の協調を積み上げる現実路線を示している。
地政学に関する成果文書では、米イラン合意を「トランプ米大統領の強力なリーダーシップのもと成立した合意」と評価した。欧州側は米国のイラン攻撃を従来ほど強く批判せず、米国は欧州が求めるロシア制裁強化を受け入れる構図となり、相互譲歩による合意形成が進んだ。
G7の運営変化と拡大会合の広がり
前年に米国の高関税政策で動揺が広がった局面と比べると、今回は落ち着いた議論ができたとの見方が出ている。日本の政府関係者も、日程全体を通じて意見対立が目立つ場面はなかったと振り返っており、首脳会議の焦点は理念的一致よりも管理可能な協調へと移っている。トランプ大統領は閉幕後の記者会見で、今回を「今までで一番成功したG7サミットの1つだ」と評価した。2025年6月のサミットでは討議を1日残して帰国し、第1次政権時にも閉幕後に首脳宣言への支持を撤回した経緯があるが、今回は全日程に参加し、閉幕後にはフランスのマクロン大統領の招待でヴェルサイユ宮殿の夕食会にも出席する。
1976年に現在のG7サミットが始まってから50年となるなか、会議の位置づけも広がっている。今回はブラジル、韓国、ケニア、インド、エジプトの首脳がパートナー国として参加し、カタールとUAEの首脳も中東情勢を議論する一部セッションに加わった。マクロン大統領は率直な意見交換の場としてのG7を維持しつつ、参加国を広げた拡大会合を積極的に組み合わせ、サミット直前には中国やインドを招いたオンライン会議も開いている。
当社の以前の記事では、米国とイランの戦闘終結に向けた合意を受けて原油相場が下落し、ホルムズ海峡の安定化期待が市場心理を支えた点を整理しました。同時に、代替調達や海運・保険コストの上昇が日本の輸入単価を押し上げ、貿易収支にも重荷となっていること、供給正常化と価格の安定にはなお不確実性が残ることを指摘しています。
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