日本のエチレン稼働率、6月に過去最低更新で需要停滞が鮮明
日本の石化業界では、原料調達不安が和らぐ一方で、需要家の買い控えが生産運営の重荷になっている。6月のエチレン生産設備の稼働率は66.5%となり、ナフサ価格の下落観測と定期修理の重なりが過去最低水準につながっている。
ハイライト
- 6月のエチレン生産設備稼働率は66.5%と過去最低を更新し、前年同月比19%減の28万9100トンを記録。
- ナフサ価格の下落や需要家による化学品購入の鈍化が稼働率低下の主因であり、稼働停止設備の増加も影響。
- 国内主要4樹脂中3樹脂の出荷量は2025年平均を上回るが、稼働率は今後も7割程度の低位安定が見込まれる。
6月稼働率の低下要因
日本経済新聞によると、石油化学工業協会が16日に公表した6月のエチレン生産設備の稼働率は速報ベースで66.5%となり、4月の67.3%を下回って過去最低を更新している。6月はU.S.とイランの軍事衝突が収束に向かうとの観測が強まり、一時は平常時の約2倍まで上昇したナフサ価格が平時並みの水準まで下落し、先安観が需要家の化学品購入を鈍らせている。石化協の筑本学会長, 三菱ケミカルグループ社長は記者会見で、原油やナフサ価格が上下するなかで顧客が積極的に買い進める状況ではないとみている。橋本修副会長, 三井化学会長も、需要家側の購入量調整を含む複合要因が稼働率低下につながっているとの見方を示している。
6月の生産量は前年同月比19%減の28万9100トンだった。定期修理などで4基が停止しており、前年より停止設備が2基多かったことも生産の下押し要因になっている。
供給維持と先行きの課題
一方で、主要4樹脂の国内出荷量は3樹脂で2025年平均を上回り、在庫活用によって前年並みの出荷を維持している。筑本会長は、国内市場が必要とする量はおおむね確保できているとしており、原料不足が稼働率を制約する局面はほぼ脱している。ただ、7月に入ってからはホルムズ海峡情勢を巡る不透明感が再び高まっている。7月と8月には在庫適正化に向けて三井化学が稼働中の1基の稼働率を約8割へ引き上げるなど変則要因もあるが、石化協は全体の稼働率が今後も7割程度の低位安定で推移する可能性があるとみている。
化学大手にとって次の焦点は、ナフサ価格の方向感を見極めにくい点にある。価格の不安定さは顧客の需要動向にも影響し、原料高騰に伴う価格転嫁が本格化すれば、最終製品の値上げが需要をさらに下押しするリスクもある。
安定供給を巡っては備蓄の議論にも関心が集まっている。酒井則明副会長, 出光興産社長は、今後の安定供給に向けて原油とナフサを一体で議論する必要があるとしている。
当社の以前の記事では、中東情勢の緊迫化を受けてホルムズ海峡の利用が当面難しくなる可能性があるとの見方と、それに伴う日本企業の調達戦略・供給網見直しの必要性を整理しました。商社が原油の代替調達で連携を強める一方、化学品についてもASEANを含む中長期の供給網再構築が論点になると伝えています。
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