広島、長崎への原爆投下から81回目の夏を迎え、日本の核廃絶への発信力が改めて問われている。NPT体制の停滞に加え、国内では安全保障を巡る議論も強まっており、被爆国としての立場をどう具体的な行動につなげるかが焦点になっている。
ハイライト
- 今春のNPT再検討会議は2015年、2022年に続き3回連続で最終文書を採択できず、NPT体制の維持が揺らいでいる。
- 今秋に予定される核兵器禁止条約の再検討会議で非加盟の日本にオブザーバー参加を含む柔軟な対応が求められている。
- 中国や北朝鮮の核戦力強化を背景に日本国内で非核三原則の見直しや政府・与党の核兵器議論が活発化しつつある。
NPT停滞下で問われる日本の対応
日経によると、今春にニューヨークで開かれた核拡散防止条約(NPT)再検討会議は、2015年、2022年に続き3回連続で最終文書を採択できずに終わっている。現地を訪れた広島、長崎の両市長は、U.S.やロシアなど核保有国の政府当局者と面会し、揺らぐNPT体制の維持を訴えた。長崎の鈴木史朗市長は、こうした時代だからこそ81年前の出来事を被爆地から想起させることが重要だと語っている。今秋には、100カ国近くが署名・批准する核兵器禁止条約の再検討会議も予定されており、非加盟の日本にもオブザーバー参加を含む幅広い対応が求められている。
安全保障論議と継承活動の重み
一方で、中国や北朝鮮が核戦力の増強を加速するなか、日本は当面、U.S.の「核の傘」に依存せざるを得ない状況にある。そうした現実を踏まえても、政府・与党内で核兵器を巡る議論が活発化していることには慎重な対応が必要だ。小泉進次郎防衛相は核兵器を巡る議論の必要性にたびたび言及し、日本維新の会は安全保障関連3文書の改定に向けて、非核三原則のうち「持ち込ませず」の見直しを提言している。唯一の戦争被爆国としての歩みに関わる論点だけに、拙速な判断は避けるべきだ。
被爆者の平均年齢が86歳を超えるなか、体験を聞き取り次世代に伝える継承活動の重要性も高まっている。長崎県在住の大学4年生、松山咲さんは年10回ほど講話を続けており、同世代にも関心を持ってもらえるよう工夫していると話す。こうした継承者の育成を後押しする地道な取り組みが、核なき世界への希望をつなぐ役割を担っている。
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