INPEXは14日の記者会見で、新潟県長岡市にあるCO2と水素から都市ガス主成分のメタンを合成する試験設備を公開した。記事によると、同社は大阪ガスと共同で実証を進めており、環境負荷の低減に加え、中東依存を抑えたガス調達網の多角化につなげる狙いがある。2035年をめどに北米や欧州を含む商用化を検討する。
ハイライト
- INPEX公開の長岡実証設備はCO2と水素からメタンを製造し、年間1万戸相当の規模で2030年までに1万立方メートルまで能力拡大を目指す。
- 合成メタンは既存都市ガスと同等に供給可能で、導管など設備更新不要なためコスト抑制効果があることを既存ネットワーク試験で確認済み。
- LNG供給網不安を受けた調達多角化ニーズに応え、国内製造によるエネルギー安全保障強化を図るが、現時点でコストは既存品の約10倍にとどまる。
長岡の実証設備、2030年に拡張へ
公開した設備は、隣接する天然ガス製造拠点から調達するCO2と、岩谷産業が供給する水素を原料にメタンをつくる。大阪ガスの触媒技術を活用し、年産能力は一般家庭1万戸分のガス消費量に相当する規模となる。現状ではCO2を1時間あたり400立方メートル処理でき、2030年には1万立方メートルまで実証規模の拡大を目指す。
この技術はメタネーションと呼ばれ、製造した合成メタンは既存の都市ガスと同等に扱える。家庭向け導管などを更新せず利用できる点が、導入コストの抑制材料になる。設備は2月までに建設工事と試運転を終え、合成メタンを既存の天然ガスパイプラインに送って従来のガス網が使えることも確認している。
LNG供給リスクに備え、脱炭素と安保を両立
背景には、ホルムズ海峡を巡る混乱で液化天然ガスの供給網が不安定化したことがある。都市ガス原料の調達先を広げる必要が高まり、国内で製造可能な代替燃料への関心が強まっている。INPEXの落合浩志執行役員は、中東に集中しない調達手段として十分に貢献できるとの見方を示している。
大阪ガスの幡中宣夫執行役員も、国内やU.S.でも生産でき、エネルギー安全保障の向上につながると説明する。一方で、現時点では水素の調達コストが課題で、合成メタンの価格は既存品の約10倍にとどまる。今回の研究開発にはNEDOが助成しており、INPEXはコスト競争力を高める技術開発を進めながら、燃料の低炭素化と供給網の多角化を図る。
私たちは以前、ホルムズ海峡を巡る航行リスクの高まりと、規制強化や通航料徴収の動きがエネルギー輸送や海上物流のコスト、保険条件に波及し得る点を報じました。停戦合意後も実効支配を強める兆候が続くなか、貿易依存国の企業活動やアジア向けの供給網の安定確保が論点になっていました。
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