G7財務相会議、原油・肥料の供給安定へ協調協議、中東危機で世界経済の下押し圧力強まる
中東危機の長期化でエネルギーと食料の供給網に緊張が広がるなか、G7財務相・中央銀行総裁会議が5月18日にパリで始まった。各国は原油価格の高止まりや肥料輸送の停滞が世界成長をさらに押し下げるリスクを踏まえ、共同歩調の再構築を目指す。
ハイライト
- G7財務相会議は中東情勢悪化を受け、原油・肥料安定供給や代替調達の協調策を主要議題とした。
- ホルムズ海峡の封鎖継続でIMFは2026年世界成長率見通しを3.1%から2.5%へ下方修正の可能性を示唆した。
- G7は中国支配下の重要鉱物や貿易不均衡への対応として、同志国による供給網強化と戦略備蓄確立を協議した。
パリ会合の焦点と政策協調
Nikkeiによると、議長国フランスは今回の会議で共同声明の取りまとめを目指しており、6月中旬に仏エビアンで開く首脳会議での成果につなげたい考えだ。4月にワシントンで開いた前回会合では、中東情勢の先行きが見通せないことを理由に共同声明を見送っていた。
会議にはフランスのレスキュール経済・財務相、U.S.のベッセント財務長官のほか、G7の中央銀行総裁らが参加した。日本からは片山さつき財務相と日銀の植田和男総裁が出席した。レスキュール氏は会議前、多国間で地球規模の課題に取り組めることを示す必要があると記者団に述べた。
議題の中心には、中東情勢の悪化を受けた原油価格の安定確保、中東以外からの代替調達、肥料輸送の維持がある。加えて、米新興企業Anthropicが開発した「Claude Mythos」を念頭に置いた新型AIによる金融システムへのサイバー攻撃リスクへの対応も討議される見通しだ。
成長見通しと供給網への波及
国際通貨基金は4月、中東情勢が世界経済に及ぼす影響を3つのシナリオで試算し、当時は混乱の早期収束を前提に2026年の世界成長率を3.1%と見込んでいた。ただ、ホルムズ海峡の事実上の封鎖が続き、IMFのコザック報道官は5月14日に「逆風シナリオに移行しつつある」との見方を示している。この場合、世界経済の成長率は2.5%となる。食料安全保障への懸念も強い。片山財務相は5月15日の記者会見で、肥料や食料生産に関わる人道的な問題は石油危機とは別の論点を持つと述べた。国連貿易開発会議によると、ホルムズ海峡を通過する肥料は年1600万トンで、海上経由の世界の肥料貿易の約3分の1を占める。国際エネルギー機関によれば、尿素は湾岸諸国が世界供給の3割、アンモニアやリン酸も2割を担っており、供給停滞は世界的な食料不足につながる恐れがある。
フランスはこのほか、特定国による輸出規制や過剰な補助金が招く貿易不均衡も重視している。重要鉱物では中国が世界生産の大半を握っており、会議では同志国による供給網や戦略備蓄の枠組みづくりも議論の対象になる見込みだ。
当社の以前の記事では、ホルムズ海峡の航行再開と海上輸送の安全確保をめぐり、日本が多国籍軍事ミッションに関する共同声明に参加した動きを取り上げました。航行の自由への支持を示しつつも、日本政府は賛同がミッションそのものへの参加を意味しない点を明確にし、停戦や意思疎通、衝突回避を重視する枠組みの位置づけを整理しています。
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