伊藤忠の事務職再設計に関心集まる、日経Think!でAI人材育成を議論

伊藤忠の事務職再設計に関心集まる、日経Think!でAI人材育成を議論
伊藤忠×AI人材戦略

生成AIの普及を受け、事務職の役割見直しと企業の人材戦略が日本の産業界で重要な経営課題になっている。5月22日から29日にかけての日経電子版「Think!」では、伊藤忠商事の事務職再定義をはじめ、iPS細胞の産業化やエネルギー調達、金利動向まで幅広いテーマに専門家の見解が集まった。

ハイライト

  • 伊藤忠商事が事務職をAI時代に再定義し、AI監視や出力可視化に強い人材獲得競争の激化が指摘された。
  • 経済産業省の2040年就業構造推計によると、事務職で約440万人、文系大卒で約80万人の余剰リスクが明示された。
  • 2025年同期比で原油輸入量47%減・ナフサ58%減の見通しとなり、中東依存リスク対応と調達先多角化が急務になっている。

AI時代の職務再編と専門家の視点

Nikkei電子版「Think!」によると、この週の注目論点の一つは伊藤忠商事の事務職再定義だった。国立情報学研究所教授の新井紀子氏は、生成AIはプログラミングとは異なり、出力を正しく読み取り、適切な指示で修正させる能力があれば短期間の訓練で実務に活用しやすいと指摘している。

新井氏は、単純なデータ入力をAIに置き換える一方で、AIの挙動監視や出力の可視化を担える人材を新卒段階から育成する方が企業の生産性向上につながるとの見方を示した。そのうえで、既存の事務人材の中にそうした能力を備える人材がどの程度いるかが課題であり、獲得競争は一段と激しくなる可能性があるとみている。

背景には、経済産業省が2026年3月に公表した「2040年の就業構造推計(改訂版)」がある。同推計では、事務職で約440万人、大学・大学院卒の文系人材で約80万人の余剰が生じる可能性が示され、職種や学歴間の需給ミスマッチがリスクとして浮上している。

同じ週の「Think!」では、京都大学iPS細胞研究所を巡る議論も取り上げられた。花村遼氏は、iPS細胞は研究段階から産業化の局面に入っており、製造、品質管理、臨床開発、薬価戦略を含むビジネス運営の高度化が不可欠だと指摘し、日本が世界市場を狙うにはリスクに見合う収益設計が次の10年の鍵になるとの見解を示している。

エネルギー、金融、都市政策へ広がる論点

この週の議論は人材や研究開発にとどまらず、資源、金融、都市政策にも広がった。日本の原油輸入を巡っては、U.S.とイランの軍事衝突から3カ月がたち、中東依存リスクが改めて意識されている。3月から5月の原油輸入量は2025年同期比47%減、ナフサは58%減の見込みで、主要輸入国の中でも減少率が大きいという。

新村直弘氏は、調達先の多角化が必要だとしつつ、備蓄が枯渇する前の消費抑制の検討も視野に入る段階に近づいていると指摘した。LNGについても、中東依存度は原油より低いものの、封鎖が長引けば価格面の不利益が顕在化する可能性があるとして、産業構造の変化を伴う議論の早期開始を求めている。

金融分野では、日銀の利上げ局面で長期金利がどう動くかが論点となった。大槻奈那氏は、国債買い入れ減額計画の見直しが来月の会合の焦点になるとしたうえで、日本では銀行や生保の需要に制約があり、個人需要も限定的なため、長期債市場で海外投資家の影響が高まりやすいとみている。

都市政策では、街路樹の減少を巡り、公民連携による緑化の必要性が論じられた。越直美氏は、自治体予算が限られる中で、Park PFIや民間建築物への容積率緩和を活用し、企業資金も取り込みながら都市の緑を維持する発想が重要だと提起している。

当社の以前の記事では、富士通が2035年度までの中期経営計画でAIや半導体、量子技術などに約3兆円を投じ、新たに3兆円規模の売上高創出と利益率の大幅改善を目指す方針を整理しました。全社でAI活用を進めて生産性を引き上げるとともに、防衛・宇宙を含む成長領域へ事業構造を転換していく点が焦点でした。

この資料には第三者の意見が含まれている場合がありますが、このウェブページ上のデータおよび情報は、当社の免責事項に従って投資アドバイスを構成するものではありません。厳格な編集上の誠実性を遵守していますが、この投稿にはパートナーの製品に関する言及が含まれている場合があります。