2026年後半にかけてスーパーエルニーニョの発生確率が高まり、世界の農産物供給に下押し圧力が強まっている。中東情勢の混乱による化学肥料高騰と円安も重なり、輸入依存度の高い日本では食料の安定確保が一段と重要になっている。
ハイライト
- スーパーエルニーニョと化学肥料高騰が重なり、日本の食料自給率38%の構造的な調達リスクが高まっている。
- オーストラリアの干ばつで小麦収穫量が前シーズン比26%減となる予測や、インドの砂糖輸出禁止など輸出国の供給制約が拡大中。
- 円安で対外調達コストが上昇する中、日本は調達先多角化や備蓄拡充、国内農家支援による増産体制強化が不可欠。
異常気象と供給制約の重なり
日本経済新聞によると、強いエルニーニョ現象は豪雨や干ばつを通じて各地の農業生産に打撃を与える可能性があり、今回は肥料価格の上昇も同時進行している。日本の食料自給率はカロリーベースで38%にとどまり、海外の供給不安がそのまま国内調達の難しさにつながりやすい構造にある。
2015〜16年にもスーパーエルニーニョが発生し、オーストラリアやアフリカの農作物生産に大きな影響が及んだ。今回も小麦の主要調達先であるオーストラリアでは、干ばつによって収穫量が前のシーズンより26%減ると予測されており、牧草の生育鈍化を通じて豪州産牛肉の供給にも不安が広がっている。
供給国では輸出抑制の動きも出ている。インドは少雨によるサトウキビ不作を見越して砂糖の輸出禁止を決め、米国でもトウモロコシの作付面積が減るとの見通しが示されている。さらに中東の紛争は化学肥料の主要生産地に影響し、世界の農業コストを押し上げている。
日本の調達戦略と国内増産の課題
足元では円安が進み、為替は1ドル=160円台に下落している。海外からの買い付けコストが膨らむなか、日本は国際的な争奪戦が本格化する前に備蓄の拡充を含む対策を検討する必要がある。特に輸入依存度が高い小麦などの主要食品では、民間と連携しながら調達先の多角化を進めることが重要になる。同時に国内では農家支援を厚くし、増産体制の整備を急ぐことが、供給不安の長期化に備えるうえで欠かせない。
地球温暖化で異常気象による凶作が常態化しつつあるなか、食のサプライチェーン強化は一時的な対応では済まない課題になっている。輸入調達、備蓄、国内生産の3つを並行して底上げできるかが、日本の食料安全保障を左右しそうだ。
当社の以前の記事では、1ドル160円前後の円安が輸入額を押し上げるなか、日本の5月貿易統計が4カ月ぶりの赤字に転じた背景を整理しました。あわせて、中東情勢の混乱を受けた原油調達先の分散や輸送費・保険料の増加が、エネルギー調達コストと貿易赤字拡大につながった点を解説しています。
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