Binanceの前に立ちはだかるクリスティーヌ・ラガルド氏:EUライセンス申請が頓挫した理由

Binanceの前に立ちはだかるクリスティーヌ・ラガルド氏:EUライセンス申請が頓挫した理由
なぜラガルド氏はこの暗号資産取引所に反対するのか

​Binanceは数カ月にわたり、欧州の規制下にある暗号資産市場への参入準備を進めていた。ところが数日のうちに、手続きは頓挫した。その後、ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁がこの予想外の展開の背後にいた可能性を示唆する報道が浮上した。

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ラガルド氏による介入の報道

ラガルド氏は、ギリシャでBinance にMiCAライセンスを付与することに反対し、ギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相に懸念を伝えたと報じられている。しかし、ECBは暗号資産取引所のライセンス付与において正式な権限を持たない。

今回の報道は、Binanceの申請が6月に問題に直面した際に初めて浮上した主張を裏付けるものだ。当時、欧州の規制制度の別の場所で反対意見が出るまで、同取引所の申請は承認間近だったとの兆候があった。ギリシャ当局はこの説明の一部に異議を唱えている。ギリシャ資本市場委員会は、EUおよびギリシャの規則に基づきBinanceを独自に審査したと説明し、ギリシャ政府も規制当局の審査には関与していないとしている。

MiCA承認を目前に

ではなぜBinanceは、MiCA に基づく認可の申請先としてギリシャを選んだのか。ある加盟国の規制当局が発行したライセンスにより、企業はEU全域でサービスを提供できるため、ギリシャでの申請の成否は欧州市場に向けた同取引所の計画にとって極めて重要だった。

6月までに、Binanceは手続きが大きく進展したと考えていた。同社は、HCMCが審査を完了し、申請がMiCAの要件に適合していると判断したと認識していたと説明した。その後、Reutersは6月16日、手続きに詳しい関係者の話として、申請が却下される見通しだと報じた。

Binanceは、却下を示す正式な通知を受けておらず、1年以上にわたり規制当局と協議してきたと主張した。8日後、同取引所は最終決定が下される前に申請を取り下げ、別のEU加盟国で認可を求めると表明した。

Binanceの過去の問題、ギリシャでも影響

このライセンス申請の背景には、Binanceが過去に経験した規制上の問題があった。2023年、同取引所は米国で、マネーロンダリング対策要件違反、無認可の送金業務、制裁違反を含む罪を認め、43億ドル超の支払いに同意した。創業者のChangpeng Zhao 氏も、実効性のあるマネーロンダリング対策プログラムを維持しなかった罪を別途認め、その後4カ月間服役した。

Binanceは、それ以降、コンプライアンス体制が大幅に変わったと説明している。同社によると、管理体制とガバナンスへの大規模な投資を受け、現在は1,500人超がコンプライアンス関連業務に従事している。ギリシャでのライセンス審査が進む中、欧州の規制当局は同社の過去の対応を引き続き厳しく精査した。

ラガルド氏がステーブルコインを重視する理由

一方、ラガルド氏は欧州のデジタル金融をめぐり、別の懸念を公に示していた。Binanceのギリシャでの申請が頓挫する直前の5月、同氏はステーブルコイン市場が6年前の100億ドル未満から3,000億ドル超に拡大したと指摘した。市場の大半は依然として米ドル建てで、TetherとCircleがその大部分を占めている。

ECBにとって、ドル連動型トークンの利用拡大は、金融活動がデジタル市場へ移行する中で、欧州の米ドル依存を深める可能性がある。

「欧州が存在感を維持するには、自国通貨ユーロ建てのステーブルコインを推進して対応すべきだという議論が強まっている。さもなければ、デジタル・ドル化が進み、通貨主権を失う未来に直面する」とラガルド氏は述べた。

ラガルド氏は、欧州が単に競合するステーブルコインを作るべきだと主張したわけではない。むしろ、デジタルユーロを含め、中央銀行マネーを基盤とする欧州のデジタルインフラを重視した。Binanceの規模と、暗号資産取引におけるステーブルコインの重要性により、同取引所はこの幅広い議論のまさに当事者となった。

Zhao氏、「他の勢力」に言及

Binanceが申請を取り下げた後、Zhao氏は正式なライセンス手続きだけでは全容を説明できないと示唆した。 「EUにはBinanceの申請を望んでいた国が2カ国あった。しかし残念ながら、反対する他の勢力が存在した」と、Zhao氏は6月のインタビューで述べた。

ラガルド氏が介入したとの報道について具体的に尋ねられると、Zhao氏はオンラインでその主張を見たものの、裏付ける文書はないと答えた。同氏は、Binanceに反対したと考える「他の勢力」が誰なのかを明らかにしなかった。

MiCAの下で最終的に決定権を持つのは誰か

MiCAでは、1カ国で承認を得れば暗号資産企業がEU全域にアクセスできる可能性があるにもかかわらず、ライセンス付与の責任は各国の規制当局に委ねられている。そのため、Binanceのギリシャでの申請は、各国の権限がどこまで及び、より広範な欧州の影響力がどこから始まるのかを試す異例のケースとなった。

Binanceは、EUの別の加盟国で認可を求める計画だと説明している。しかし、ラガルド氏の関与が報じられたことで、次の申請にも付きまとう疑問が残る。1つの承認で欧州市場全体への扉を開ける場合、各国のライセンス判断はどこまで独立性を保てるのだろうか。

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