日本製鉄は4月30日、完全子会社化した米鉄鋼大手U.S. Steelに約19億ドルを投じ、電炉向け原料の供給体制を強化すると発表した。投資は2028年までに約束した総額約110億ドルの一部で、脱炭素対応とコスト競争力の引き上げを狙う。
ハイライト
- 日本製鉄はU.S. Steel傘下ビッグ・リバー・スチールで約3000億円を投じ、直接還元鉄(DRI)製造プラントを新設。
- 新プラントはミネソタ州のU.S. Steel鉱山産ペレットを活用し、電炉原料の安定調達と製造コスト競争力向上を目指す。
- 今回の設備投資は、アメリカ鉄鋼供給網強化と電炉シフト・低炭素化を両立する日本製鉄の戦略の一環。
アーカンソー州でDRI設備を新設
日本経済新聞によると、日本製鉄はU.S. Steel傘下のビッグ・リバー・スチール(アーカンソー州)で設備投資を進める。対象は電炉で使う鉄鋼原料を製造する設備で、石炭(コークス)の代わりに天然ガスを使って鉄鉱石から酸素を取り除く直接還元鉄(DRI)の製造プラントを新設する。
新プラントでは、U.S. Steelがミネソタ州に持つ鉱山で生産する直接還元用ペレットを活用してDRIをつくる。生産したDRIはビッグ・リバー・スチールの主原料として使い、電炉向け原料の安定調達につなげるとともに、製造コスト面での競争力向上も見込む。
脱炭素と米供給網の立て直し
DRIは二酸化炭素(CO2)排出量を抑えやすいことから、鉄鋼業の脱炭素化を支える技術として注目される。とくに天然ガスではなく水素のみを使う水素直接還元は、CO2排出量を実質ゼロに近づける手法として期待が集まる。日本製鉄は2025年にU.S. Steelを完全子会社化しており、買収時には老朽化した生産設備の改修を進める方針を示していた。今回の投資は、米国内の鉄鋼供給網を強化しながら、電炉シフトと低炭素化を同時に進める戦略の一環となる。
当社の以前の記事では、中国の輸出規制強化を背景にタングステンの供給が逼迫し、国内で超硬工具向けなどの価格改定が広がっている状況を取り上げました。三菱マテリアルや住友電気工業が相次いで値上げに踏み切る一方、各社は中国依存の低減に向けてスクラップ回収網の整備などリサイクル体制の強化を急いでいます。
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