日本、NATO首脳会議欠席で欧州安保連携の発信機会を逸失
日本はNATO首脳会議で欧州首脳と東アジアの安全保障課題を直接共有できる局面にありながら、高市早苗首相は出席を見送っている。国会審議の停滞が外交日程に影響し、ウクライナや中東に加え、中国と北朝鮮を巡る情勢が議題となる場で首相自ら発信する機会が薄れている。
ハイライト
- 日本は2025年のNATO首脳会議を国会審議の混乱などを理由に欠席し、2年連続の不参加となった。
- NATOは日本を含むIP4(韓国・オーストラリア・ニュージーランド)と安全保障連携を重視しているが、岸田首相欠席により連携強化の機会を失った。
- 日欧関係強化が必要な中、日本の外相・防衛相が代理出席するものの、首相自らの出席による外交発信力喪失の影響は大きいと分析されている。
NATO会議欠席の経緯と政府説明
日本経済新聞が報じたところによると、首相欠席の背景には、与党が衆院で多数を占めるなかで進めた国会運営への野党の反発があり、審議の停滞が外交日程に波及している。木原稔官房長官は7日の記者会見で、NATO首脳会議を欠席する理由について、特別国会の会期中であり、国会日程を含む諸般の事情を総合的に考慮した結果だと説明している。
高市首相は6日の参院決算委員会で、週内に決算委員会と党首討論が入る見通しを踏まえ、外相と防衛相に代理出席してもらうことにしていたと述べている。ただ、国会審議の混乱で党首討論は先送りとなり、結果として首相不在の判断だけが残る形になっている。
日本の首相によるNATO首脳会議への参加は、岸田文雄氏が2022年から3年連続で続け、日本の首相として初めて出席した経緯がある。2025年は石破茂首相が中東情勢の緊迫や、U.S.を交えたIP4特別会合の開催が見通せなくなったことなどを考慮して欠席しており、今回も見送ることで2年連続の不参加となる。
欧州関係と防衛協力への影響
NATOは日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドをインド太平洋の重要パートナーとして「IP4」と位置づけており、首脳会議は4カ国と欧州側が安全保障認識を擦り合わせる機会となっている。今回は韓国の李在明大統領が出席予定で、日本にとっても欧州首脳と東アジア情勢への懸念を共有し、連携を強める余地があった。日本と欧州は、同盟相手であるU.S.の予見可能性がトランプ政権下で低下するなか、関係強化の必要性が増している。欧州のNATO加盟国はU.S.依存からの脱却を模索し、日本も欧州に加えてオーストラリアや韓国など、価値を共有する国々との連携を深める必要に直面している。今回は茂木敏充外相と小泉進次郎防衛相が参加してNATOとの結束を訴えるものの、首相自ら各国首脳と会い、日本の立場を直接伝える機会を失う影響は小さくない。
慶大の鶴岡路人教授は、首相がNATO首脳会議に参加する意義について、北朝鮮や中国を念頭にインド太平洋情勢の厳しさを伝える点にあると話している。NATO内で中国への脅威認識が高まっているとしたうえで、日本にとって貴重な機会だったと指摘し、欧州で日本の防衛装備への期待もあるなか、小泉防衛相の関連会合参加には一定の意義があるとの見方を示している。
当サイトの以前の記事では、中国海軍が太平洋の公海に向けて潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)訓練を実施したとする発表内容を整理し、核搭載可能なJL2/JL3の可能性にも触れました。日本にも事前通告があった一方、設定区域が日本のEEZにかかる可能性が取り沙汰され、日本政府が深刻な懸念を示して警戒監視を強化した点を伝えています。
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