2026年夏にAI・半導体関連株への過熱懸念が広がるなかでも、市場関係者は次世代データセンターの構造変化が半導体需要を押し上げるとみている。AIエージェントの普及により、AI半導体だけでなくCPU、メモリー、光通信部材、電源関連機器まで需要の裾野が広がるとの見方が強い。
ハイライト
- AIエージェント普及による計算負荷増大で、AI半導体・CPU・DRAM・NAND型フラッシュメモリー需要が顕著に拡大見通し。
- 光配線および増幅装置需要拡大が進み、住友電気工業、JX金属、AXT、Marvell Technologyなど関連銘柄に追い風。
- 2026年の半導体製造装置売上高は市場全体で30%成長予想、TSMC新工場の2028年本格稼働で2030年に向け成長局面継続。
次世代データセンターが生む新需要
日本経済新聞によると、AI利用の進化に伴ってデータセンターに必要な機能が変わり、半導体需要が一段と拡大すると伝えている。岩井コスモ証券シニアアナリストの斎藤和嘉氏は、AIの普及が進むほどトークン消費量とメモリー使用量が増え、半導体需要は大きく膨らむとみている。斎藤氏は、米ハイパースケーラーの投資拡大競争についても過剰にはなりにくいとの見方を示す。米CoreWeaveが売上高の4倍に相当する資金を投じるなど設備投資は加速しているが、AI需要の伸びがそれを吸収するという見立てだ。
楽天証券経済研究所チーフアナリストの今中能夫氏は、この1年でAIデータセンターの中身が変わったと指摘する。従来の生成AIは1つの指示に対して1つの推論を返すのが中心だったのに対し、AIエージェントは複数の推論を重ねながら自律的に業務を進めるため、計算負荷が大幅に高まる。
その結果、AI半導体に加えてシステム全体を統括するCPUの必要数が増え、DRAMやNAND型フラッシュメモリーの需要も拡大する見通しだ。米Intelは200億ドル規模の資金調達を進めており、NAND分野ではキオクシアホールディングスやSamsung Electronicsが主要企業として挙がる。
日本企業と関連部材に波及
次世代データセンターでは、大量データを高速で送受信するため光配線の重要性も高まる。今中氏は、1000km以上離れたデータセンター同士を超高速ネットワークで結び、1つの巨大な計算資源として統合する「スケールアクロス」が進み、光配線の増幅装置の需要も増えているとみる。この流れは、光通信向けのインジウムリン基板を手がける住友電気工業、JX金属、U.S.のAXTなどに追い風となる。光配線の増幅装置ではU.S.のMarvell Technologyが強みを持つほか、AIサーバーの電力効率化に向けた交流から直流への移行で、配電盤や積層セラミックコンデンサーの更新需要も見込まれる。
今中氏は、4月以降のフィラデルフィア半導体株指数(SOX)上昇の背景にこうした新需要があると分析する。斎藤氏は2026年の半導体製造装置売上高が市場全体で30%成長すると見込み、TSMCなどの新工場が2028年から本格稼働することで、2030年に向けて成長局面が続く可能性があるとしている。
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