三菱自動車、パジェロシリーズ再投入で東南アジアのSUV攻勢強化

三菱自動車、パジェロシリーズ再投入で東南アジアのSUV攻勢強化
パジェロ復活で攻勢

三菱自動車は東南アジアでの事業立て直しに向け、主力だったSUV「パジェロ」を7年ぶりに復活させ、2026年内から3車種を順次発売する。あわせて2030年3月期を最終年度とする中期経営計画を示し、オフロード車と電動化に経営資源を集中して販売拡大と収益改善を狙う。

ハイライト

  • 三菱自動車は2031年度までに13車種を投入、うち7車種を収益性の高いSUV・ピックアップトラックとし、新型パジェロを2026年内発売開始。
  • 2030年3月期営業利益目標は1,600億円、2031年以降最大2,500億円、販売台数は90万台で前期比12%増を計画。
  • 東南アジアの営業利益は2025年度229億円と2019年度636億円から大幅減、研究開発投資は4年間で1兆円を計画し、他社連携を強化。

新中計と商品投入の柱

日経新聞の報道によると、三菱自動車は29日に新たな中期経営計画と30年代に向けた長期ビジョンを公表し、2031年度までの6年間で13車種を投入する方針を打ち出した。うち7車種はオフロード車として開発し、単価の高いSUVやピックアップトラックを拡充することで収益力の引き上げを目指す。

パジェロシリーズは異なるサイズで3車種をそろえ、2026年内に発売を始めた後、順次グローバル展開する。新モデルはピックアップトラックのフレームを活用して耐久性を高め、悪路走行に対応する設計とする。生産はピックアップトラックを手がけるタイ工場で担う。

業績目標では、2030年3月期に営業利益1,600億円、2031年3月期以降に最大2,500億円を目指す。販売台数は日本、ベトナム、フィリピンを重点地域として、2030年3月期に前期比12%増の90万台へ引き上げる計画だ。

電動化戦略も見直し、PHV偏重から軌道修正する。日本を含む世界でHV5車種を発売し、需要の広い電動車市場に対応するほか、EVも他社からの供給を活用して品ぞろえを増やす方針だ。

東南アジア競争と提携活用の課題

三菱自動車の販売台数の3割を占める東南アジアでは、中国勢が低価格EVを武器に参入を広げている。特にEV支援策が厚いタイやインドネシアでは三菱自動車のシェアが伸び悩み、東南アジアの営業利益は2025年度に229億円と、2019年度の636億円から大きく落ち込んでいる。

野村総合研究所タイの山本肇プリンシパルは、中東情勢の悪化による燃料高の影響が大きく、中国EVのシェアは2026年にさらに増えるとみる。一方で、耐久性が重視されるピックアップトラックなどでは中国勢の参入が限定的で、三菱自動車が強みを発揮できる余地は残る。

同社は今後4年間の研究開発費と設備投資として計1兆円を見込むが、2025年度の研究開発費実績はトヨタ自動車の10分の1にとどまる。このため、自社の得意分野に投資を絞る一方、弱い分野では他社との協業を活用する。北米では初のピックアップトラックを日産からの供給で投入し、2024年に合意したホンダとの協業についても検討を続ける。

三菱自動車は2020年以降に進めた構造改革で固定費を削減してきたが、2026年3月期までの従来計画は販売台数と営業利益の両面で大幅未達となる。EV市場の逆風や中国メーカーの台頭で競争環境が変わるなか、新たな商品戦略と提携戦略を着実に実行できるかが今後の焦点となる。

当社の以前の記事では、金融庁によるコーポレートガバナンス・コード改訂などを背景に、日本の企業統治改革が「資本効率の改善」だけでなく「持続的な利益成長」を引き出せるかが焦点になっている点を整理しました。取締役会には成長戦略の実行力がより強く求められ、投資と株主還元の最適な資本配分や、投資家との対話を通じた戦略の明確化が重要になると指摘しています。

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