日本の企業統治改革は、資本効率の改善だけでなく持続的な利益成長を引き出せるかが焦点になっている。金融庁が今夏をめどにコーポレートガバナンス・コード改訂を予定し、経済産業省も投資拡大を促す指針を示す方針のなか、企業には資本配分と成長戦略の明確化が一段と求められている。
ハイライト
- 金融庁は今夏にコーポレートガバナンス・コードを改訂予定で、取締役会に成長戦略実現をより強く求める方針。
- 2025年の東京証券取引所の上場企業数は2年連続で減少し、上場廃止数が新規上場数を上回る状況が続いている。
- 日経平均株価が初めて6万円台に乗せる中、持続的成長企業の厚みを増やすことと資本活用の好循環構築が重視されている。
統治改革の焦点は収益力の底上げ
日本経済新聞の社説では、政府による企業統治改革が「成長」を軸に再構築されていると指摘している。金融庁は今夏をめどにコーポレートガバナンス・コードの改訂を予定し、取締役会に対して成長戦略の実現をより強く求め、経済産業省も賃上げや人材、設備への投資を促す指針を示す方針だ。
第2次安倍晋三政権以降、10年超にわたり進んできた改革によって、社外取締役の増加や持ち合い株の解消が進み、資本効率を意識する経営姿勢は広がっている。一方で、自己資本利益率は10%弱となお米欧を下回る水準にとどまり、自社株買いだけでなく利益そのものを拡大する戦略の重要性が増している。
企業が積み上げた現預金を含む保有資産を有効活用し、成長段階や事業環境に応じて投資と株主還元を適切に組み合わせる必要もある。中長期で市場の支持を得るには、経営戦略を明示し、投資家と目線をそろえた対話を深めることが不可欠になる。
市場再編後の日本株に問われる成長企業の厚み
課題は既存企業の改革にとどまらず、次の時代を担う新たな成長企業が生まれる土壌づくりにも広がっている。一連の統治改革は、日本の産業構造の大きな転換につながってこそ意味を持つ。2025年の東京証券取引所の上場企業数は2年連続で減少し、上場廃止数が新規上場数を上回る状況が続いている。2022年4月に実施したプライム、スタンダード、グロースへの市場再編に伴う経過措置も終了し、各企業は上場の意義を見直し、具体策を示す局面に入っている。
世界の資金がU.S.市場に向かう背景には、有望な成長企業が並ぶ市場構造がある。日本でも日経平均株価は初めて6万円台に乗せているが、この株高を一過性で終わらせないためには、持続的な成長が期待できる企業群の厚みを増やし、資本を生かす経営の成果を家計へ波及させる好循環を築くことが重要になる。
当社の以前の記事では、日本株市場でテンバガー銘柄への関心が高まり、大型株に加えて次の有望銘柄を探す個別物色の流れが強まっている点を整理しました。半導体・AIに加えて脱炭素や新素材といったイノベーション分野にも投資テーマが広がり、成長期待が市場全体の資金循環を押し広げる可能性を取り上げています。
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