ウクライナ戦争の終結後を見据え、日本政府はロシアでの事業拡大の地ならしとして、5月下旬に経済使節団を送る準備を進めている。訪問が実現すれば、ロシアによる侵攻が続く中で慎重姿勢も残る日本企業にとって、将来の事業再開を探る動きとなる。
ハイライト
- 石破政権は5月26日から2日間、Mitsui & CoやMitsui O.S.K. Lines Ltd幹部らによるロシア経済使節団派遣を調整中。
- 日本は中東経由原油供給の脆弱性を背景に今月初めロシア産原油を輸入し、エネルギー安全保障上ロシア接点を再検討中。
- 鈴木宗男参院議員が今月上旬モスクワでロシア外務次官と会談し、ロシア側は日ロ外相会談に応じる用意を示唆。
訪問計画の概要と協議相手
Japan Today Businessが伝えたところによると、石破政権は5月26日からの2日間の日程で、主要日本企業の幹部級代表による訪ロを提案している。事情に詳しい関係者によれば、対象企業にはMitsui & Co、Mitsui O.S.K. Lines Ltdが含まれ、Mitsubishi Corpも加わる可能性が高い。
使節団はロシア産業貿易省の高官らと会談する見通しだ。計画の狙いは、ウクライナ戦争の終結後に日本企業の事業活動を拡大するための基盤づくりにある。
一方で、この訪問はロシアのウクライナ侵攻が5年目に入る中で行われるため、日本企業の一部には慎重な受け止めもある。4月上旬には、木原稔官房長官と茂木敏充外相が、日本が経済使節団をロシアに送る計画を進めているとの報道を否定していた。
エネルギー制約と日ロ関係の再接近の兆し
それでも、東京とモスクワの関与再開を示す兆候は出始めている。今月上旬には、日本はロシア産原油を輸入したが、これは2月下旬に始まったU.S.とイスラエルの対イラン戦争を受け、ホルムズ海峡が実質的に機能停止して以降では初めてだった。この輸入は、中東産原油への依存度が高く、その大半が同海峡を通過する日本のエネルギー供給の脆弱性を改めて浮き彫りにした。エネルギー安全保障上の制約が、ロシアとの経済接点を再検討する背景の一つになっている。
日ロ経済協力では、2016年に当時の安倍晋三首相がプーチン大統領に協力構想を提案し、エネルギー開発や農業分野で具体的な案件協議が進んだ経緯がある。ただ、その後はウクライナ戦争によって協議が事実上凍結された。
安倍氏は高市早苗首相の政治的後ろ盾として知られ、2020年までの在任中にプーチン氏と27回会談し、領土問題の解決を目指したが、打開には至らなかった。現在はToyota Motor CorpやNissan Motor Coを含む日本企業がロシア事業から撤退、または縮小している。
関連する動きとして、ロシアと長年の関係を持つ鈴木宗男参院議員が今月上旬にモスクワを訪れ、アンドレイ・ルデンコ外務次官と会談した。鈴木氏によれば、ロシア側は日本が望むなら外相会談に応じる用意があるとしている。
当社の以前の記事では、経済産業省が5月末にも政府職員のロシア訪問を調整し、現地に残る日本企業の資産保全や事業継続を支援する方針を伝えました。政府はG7と足並みをそろえた対ロ制裁を維持し、新たな経済協力の推進ではなく、実務面での意思疎通を図る位置付けだと説明しています。
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