2027年春季労使交渉に向け、連合は賃上げ要求の目線を一段と引き上げ、実質賃金の持続的な改善を促す姿勢を鮮明にした。最低ラインとして5%以上を残し、高水準の賃上げが難しい企業にも配慮しながら、6%に近い回答を広げる構えだ。
ハイライト
- 連合は2027年春季労使交渉における賃上げ要求を「6%中心、5%以上」へ引き上げ、中期目標として2030年までに所定内給与を15%程度増加させる方針を示した。
- 賃上げ率5%以上の組合は未だ5割未満に留まり、企業規模間の格差是正のため組合員300人未満の中小企業要求は「6%以上」に据え置かれた。
- 2027年4月実施予定の飲食料品消費税減税や物価上昇率鈍化により、企業の賃上げ抑制圧力が強まる可能性が指摘されている。
要求水準の引き上げと中期目標
日本経済新聞によると、連合は22日、2027年春季労使交渉での賃上げ要求を「6%中心、5%以上」とすると発表した。2026年春に掲げた「5%以上」から水準を引き上げる一方、従来目標を併記することで、追加の賃上げ余力に乏しい企業への配慮もにじませた。2026年の春季交渉では、連合傘下の組合が掲げた要求の平均は、ベースアップと定期昇給を合わせて5.94%だった。芳野友子会長は22日の記者会見で、実質で1%以上の賃金上昇を巡航軌道に乗せるには、なお一段の努力が必要だとの認識を示している。
今回の基本構想では、2030年までの中期目標も初めて盛り込んだ。物価や実質賃金の上昇率に加え、国内投資の加速による押し上げ効果も織り込み、基本給にあたる所定内給与を15%程度引き上げることを目指すとしている。30歳の中央値は34万円、35歳は36万円を想定する。
中小企業格差と来春交渉への影響
一方で、連合が「5%以上」の表現を残した背景には、高水準の賃上げに対応しきれない企業が少なくないとの判断がある。芳野氏は、5%以上の賃上げ率となった組合の比率がなお5割に届いていないと述べ、産業間や企業規模間のばらつきが続いている現状を示した。今春の実績では、企業規模が小さいほど賃上げ率が低い傾向がみられた。このため連合は、企業規模間の格差是正を狙い、組合員300人未満の中小企業向け要求を2025年、2026年と同じく「6%以上」に据え置いている。
来春に向けては経済界も前向きな姿勢を示す。経団連の筒井義信会長は9月の記者会見で、ベースアップ実施の検討を引き続き標準的な対応と位置づけたいと強調した。もっとも、政府が2027年4月からの実施を目指す飲食料品の消費税減税は、企業の賃上げ判断に逆風となる可能性がある。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長は、物価上昇率の鈍化を織り込んで賃上げを抑える企業も出る可能性があるとみている。
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