金融大手7社、相続手続きの一括対応会社を今秋設立へ
日経電子版の「Think!」で4月7日付の記事として示された内容によると、銀行や証券など大手金融機関7社は、遺産相続の手続きをまとめて受け付ける新会社を今秋に設立する方向です。利用者は金融機関ごとに必要だった書類提出を一度で済ませられるようになり、把握していなかった故人名義の口座の照会にもつながる見通しです。高齢化で相続関連の事務負担が増すなか、金融実務の効率化と利用者利便の改善が狙いになります。
ハイライト
- 大手金融機関7社は2024年秋に相続手続きをワンストップで対応する新会社設立で合意、業務効率化を目指す。
- デジタル連携・API標準化や名寄せ精度向上など制度・インフラの課題が残るものの、官民連携による実用化への動きが加速。
- 高齢化による相続関連事務負担増を背景に、今回の業界横断型新会社が手続き効率化と実務標準化の試金石となる見通し。
新会社設立の枠組みと手続き集約
対象となるのは銀行や証券を含む大手金融機関7社で、相続時に必要な手続きをワンストップで扱える体制を整えます。これまで相続人は、口座を持つ金融機関ごとに個別の書類提出や確認対応を進める必要がありました。新たな仕組みでは、その重複作業を減らし、相続手続き全体の時間と負担の圧縮を目指します。
記事では、利用者が気づいていなかった故人の口座も見つけやすくなる点が特徴として挙がっています。相続財産の把握漏れは手続きの長期化や追加対応の要因になりやすく、照会機能の整備は実務面での効果が見込まれます。金融機関側にとっても、窓口での個別対応を減らすことで業務効率化につながる可能性があります。
デジタル連携の課題と制度整備
「Think!」でコメントしたデジタル庁統括官デジタル社会共通機能担当の楠正憲氏は、相続手続きでは金融機関口座の扱いが大きな負担になっていると指摘しています。預貯金へのマイナンバー付番を活用した相続時照会も始まっていますが、現時点では十分に定着しているとは言い難いとの見方です。そのため、民間主導でワンストップ化の動きが出てきたことに意義があるとしています。
同氏は今後の課題として、名寄せ精度の向上や対象資産の拡充といった制度面の整備を挙げています。加えて、APIの標準化や連携基盤の高度化など、インフラ面での対応も必要になるとみています。官民が連携して情報連携の仕組みを整えることが、相続関連サービスの実用性を左右しそうです。
高齢社会で広がる業務効率化の需要
日本では高齢化の進行に伴い、相続手続きの件数や関連する事務負担の増加が見込まれています。金融機関にとっては、相続確認や口座照会の対応が店舗や事務センターの負荷要因の一つになっています。今回の取り組みは、こうした負担を抑えながら、利用者の利便性を高める業界横断の対応として位置づけられます。
相続実務のデジタル化が進めば、金融分野では本人確認や資産照会の標準化にも波及する可能性があります。一方で、対象資産の範囲、データ連携の精度、各社システムの接続方法など、実装面の詰めはなお重要です。金融機関7社の新会社設立は、相続手続きを巡る業務改革の試金石になりそうです。
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