日銀の利上げ局面、石油危機との違いが示す日本株の防衛戦略
中東情勢の緊迫化と原油高への警戒が強まるなか、市場では1970年代の石油危機と現在の日本経済を比較し、インフレと金融政策の影響を見極める視点が重要になっている。足元では日銀が利上げを進め、マネタリーベースとマネーストックの伸びも抑制されている一方、過去の大規模緩和で積み上がった資金残高が潜在的な物価上昇圧力として残っている。
ハイライト
- 日銀は利上げとマネタリーベース縮小でインフレ再燃リスクを低減しているが、600兆円のマネタリーベース残高が依然リスク要因。
- 2026年3月米非農業部門就業者数が前月比17万8000人増で市場予想を上回り、失業率は4.3%に低下、平均時給伸びは3.5%。
- 高配当や株主優待銘柄への割安投資が推奨され、IPOではセイワホールディングスが100兆円超市場規模の中小企業承継M&Aで注目。
石油危機との比較で見る金融政策
日経マネーの連載記事ではと、Nikkeiは1973年の第1次石油危機と79年の第2次石油危機の違いは、原油高そのものではなく日銀の金融政策対応にあったと整理している。第1次石油危機では金融緩和の継続でCPIが前年比21.9%まで上昇した一方、第2次石油危機では利上げと資金供給の抑制により、輸入物価が70%超上昇してもCPIの伸びは5.0%程度にとどまったとしている。
現在は日銀が利上げを進め、マネタリーベースの前年比はマイナスに転じ、マネーストックの伸びも1%台に抑制されている。このため、第1次石油危機のような急激なインフレ再燃の可能性は相対的に低いとの見方を示している。
一方で、アベノミクス以降の長期緩和で積み上がった約600兆円のマネタリーベースと約1600兆円のマネーストックという高水準の残高は、なお無視できないとしている。輸入インフレの外的ショックが加われば、蓄積された流動性がCPIに想定以上の波及をもたらすリスクは残るとの見立てだ。
さらに、1990年の湾岸危機時には、すでに金融引き締め下にあった日本経済が原油高で急速に冷え込み、バブル崩壊を後押しした可能性にも触れている。4月の利上げ観測が浮上するなかでも、焦点は利上げの有無ではなく最終的な到達点と、その説明力にあるとしている。
米雇用統計と投資家の守り重視
2026年3月のU.S.雇用統計では、非農業部門就業者数が前月比17万8000人増と市場予想を大きく上回り、失業率も4.3%へ低下した。ただ、平均時給の伸びは前年同月比3.5%と予想を下回っており、企業が賃金引き上げに慎重になっている兆候も示している。原油高が家計と企業の双方に負担を与えるなか、FRBはインフレ抑制と景気下支えの間で難しい判断を迫られている。見かけ上の雇用の強さと内在する弱さが同居しており、日々の株価変動よりも資産防衛を重視する局面だとしている。
そのうえで、不安定な株式相場ではキャッシュフローが安定した高配当銘柄や優待銘柄を割安に仕込む戦略を挙げている。今月のIPO注目銘柄としては、中小企業承継を軸にM&Aを進めるセイワホールディングスを取り上げ、100兆円超とされる市場規模を背景に安定的な案件供給が期待できる点を追い風としている。
私たちの以前の記事では、原油高と地政学的緊張を背景にガソリン価格が上昇するなか、Chevron(CVX)が短期的な売り圧力に直面している状況を取り上げました。株価はSMA-20やSMA-50を下回って弱気シグナルが目立つ一方、長期のSMA-200は上回っており、目先は175~185ドルのレンジでのもみ合いが想定されると整理しています。
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