日本、インド太平洋の供給網強化へ新外交方針を表明
高市早苗首相はベトナムで、日本の新たな外交方針として経済安全保障を軸にした改定版の「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を示した。重要物資の供給網や通信インフラ、防衛協力を一体で強化し、厳しさを増す国際情勢に対応する構えを鮮明にした。
ハイライト
- 高市首相は6月2日ハノイで、インド太平洋地域の重要物資サプライチェーン強化とアジア全体の原油備蓄体制構築を表明。
- 人工知能分野競争力向上のため、信頼性の高い海底ケーブル・衛星通信の支援を含む「FOIPデジタル回廊構想」を打ち出した。
- 供給網再編・資源確保・デジタル基盤整備といった経済安保を外交方針に統合し、日本のインド太平洋地域での主導力強化を狙う。
ベトナム演説で示した重点分野
日本経済新聞によると、高市首相は2日に訪問先のハノイで演説し、FOIP提唱から10年を踏まえて新たな重点分野を打ち出した。米国とイランの軍事衝突やトランプ政権の関税政策を念頭に、経済と安全保障の両面で地域の強靱性を高める必要があるとの認識を示している。
柱の一つに据えたのは重要物資の供給網強化で、経済活動や医療に不可欠な物資について各国が共同でサプライチェーンを強化しなければならないと訴えた。中長期目標としては、アジア全体での原油備蓄と放出の仕組みづくりにも意欲を示した。
あわせて、人工知能の競争力向上に欠かせない信頼できる通信インフラの整備も掲げた。海底ケーブルや衛星通信への支援を含む「FOIPデジタル回廊構想」を提唱し、ルールに基づく経済秩序の維持と拡大の重要性を訴えたほか、環太平洋経済連携協定(TPP)の拡大手続きの早期開始を目指す考えも示した。
経済安保と海上安全保障の一体運用
首相は、供給網はシーレーンの安全で自由な航行によって支えられると強調し、安全保障面での連携拡充も打ち出した。防衛装備品などを無償提供する政府安全保障能力強化支援(OSA)や、安全保障分野での政府開発援助(ODA)を活用する方針だ。今回の方針は、供給網の再編や資源確保、デジタル基盤整備を外交戦略に組み込み、日本がインド太平洋地域で経済安保の主導力を高める狙いを映している。首相は、取り巻く環境は大きく変わってもFOIPの妥当性は揺らがないと述べ、各国が経済と安全保障の両面で自律性と強靱性を身につけることが不可欠だと訴えた。
当社の以前の記事では、日本とベトナムが原油やレアアースなど重要物資の安定確保で連携を深める動きを取り上げました。ニソン製油所の原油調達支援や、AI・通信などを含む協力枠組みを通じて、調達の多角化とサプライチェーンのリスク低減を狙う点を整理しています。
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