ホルムズ海峡の実質封鎖で、日本の中東依存型の石油調達体制が抱える供給リスクが改めて鮮明になっている。 原油の約95%を中東産に頼る構造は価格高騰と物流寸断の影響を受けやすく、調達先の分散と石油依存の低下が同時に問われている。
ハイライト
- ホルムズ海峡の実質封鎖により米原油先物は一時1バレル118ドルまで急騰し、日量2千万バレル規模の石油流通に深刻な影響。
- 日本の中東依存度は過去最高水準に達する一方、原子力や再生可能エネルギー推進により石油比率は7割台から3割台へ低下し、備蓄は約250日分を維持。
- 今後は原油調達先の北米・中南米・アフリカ分散や合成燃料開発が課題となり、高市政権の「パワー・アジア」構想により地域全体のエネルギー安保強化に注力。
ホルムズ危機が示す調達構造の弱点
Nikkeiが伝えた論説では、イランによるホルムズ海峡の実質封鎖が、エネルギー安定供給の前提を見直す契機になるとしている。世界で取引される石油やLNGの約2割が通過する要衝の混乱は、日量2千万バレル規模の石油に影響し、1970年代の石油危機を大きく上回る打撃になっている。
米原油先物市場は一時、危機前の2倍近い1バレル118ドル程度まで上昇し、高止まりが続いている。日本は戦後から中東原油への依存度が高く、1970年代以降に一時分散を進めたものの、中国や東南アジアの内需拡大、2022年のロシアによるウクライナ侵略を経て、足元では中東依存度が過去最高水準に達している。
一方で、LNGや原子力の導入拡大により、日本の1次エネルギーに占める石油比率はかつての7割台から3割台へ低下している。石油備蓄もホルムズ危機発生時点で国内消費量の約250日分があり、政府の備蓄放出は供給不安の緩和に機能している。
分散調達と電化が次の対策に
今後の対策としては、北米、中南米、アフリカなどへの原油調達先の分散が候補になる。ただ、国内製油所は中東産原油を効率的に精製できるよう設計されており、輸送日数の短さも含めて中東原油は経済性で優位にあるため、多様化にはコスト増や製油所改修投資を伴う。同時に、原子力、太陽光、風力などを活用した電化の推進で石油依存をさらに引き下げる必要がある。EV普及は有効だが、航空機や船舶では高エネルギー密度の液体燃料需要が残るため、CO2と水素からつくる合成燃料の開発も重要になる。
高市早苗政権は、石油備蓄が手薄なアジア諸国を支援する「パワー・アジア」構想を打ち出している。日本の需要が減少する一方でアジアの需要増が見込まれるなか、地域全体でエネルギー安全保障を強化する枠組みの具体化と、中東からの安定調達を維持しながら分散を進める資源外交の両立が課題になっている。
当社の以前の記事では、ホルムズ海峡を巡る緊張が高まるなかで、日本とイランの外相が停戦に向けた外交プロセスについて電話協議した動きを取り上げました。協議では日本関連船舶の通航やエネルギー物流の安定性が論点になり得ること、さらに事実上の封鎖が続く状況下でもタンカーの通過事例があり、調達コストやサプライチェーン管理への影響が続く見通しである点を整理しています。
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