日本政府、行政AI基盤を18万人に拡大し政策立案の効率化へ
政府は行政向け生成AI環境「源内」を各府省に順次広げ、国家公務員一般職の約6割にあたる18万人へ利用アカウントを配布する。答弁作成や統計分析などの定型業務を省力化し、各省庁が政策立案や課題発掘により多くの時間を振り向けられる体制づくりを進める。
ハイライト
- デジタル庁は行政AI基盤「源内」を2026年1月までに一部官庁、2027年度から39行政機関18万人に本格展開する計画を発表。
- 行政実務向けAIアプリは現時点で約20業務に対応し80年分のデータを学習、将来的に500以上の業務展開を目指す。
- 政府はNTTデータ、ソフトバンク、富士通など7モデルを実証し、2027年度に優秀モデルを政府調達・海外展開の対象に選定予定。
省庁横断で進む導入計画
日本経済新聞によると、デジタル庁は2025年5月から試験導入した「源内」を2026年1月から一部官庁で使い始めており、5月からは39行政機関に順次展開する。秘匿性の高いデータは学習させず参照にとどめる設計とし、利用を通じて得たデータを今後の機能拡充に生かす方針だ。
2027年度からは各府省が予算を確保し、本格利用に移る段取りを想定している。行政実務向けアプリは1947年5月以降の官報や白書、法令など約80年分の行政データを学習し、現時点で約20種類の業務に対応しており、将来的には500以上へ広げる計画だ。
各省庁では具体的な活用も始まっている。国土交通省は複数統計の相関分析に使い、厚生労働省は一般事業主行動計画の受理や「えるぼし」「くるみん」の認定審査、職場トラブル相談の効率化を目指すほか、デジタル庁は2026年度中に国会答弁の草案作成を支援する高度なAIアプリの開発を進める。
行政生産性と国産AI育成への波及
自律型AIの導入により、職員はプログラミング知識がなくても指示文から業務アプリを自作できるようになる見通しだ。デジタル庁は2025年6月から8月に農林水産省の大規模アンケート分析を支援し、職員1人で約2カ月かかる作業を3日間に短縮したとしている。こうした効率化が進めば、官僚には事務処理そのものよりもAIを使いこなし、国会議員や企業、市民との対話から課題を見つけて解決策を示す能力が一段と求められる。行政向け基盤の拡大は働き方改革にとどまらず、政策形成の質を左右する取り組みになりそうだ。
同時に政府は国産の大規模言語モデル育成も進める。18万人規模の実証ではNTTデータ、ソフトバンク、富士通など7つのモデルを試用し、2027年度に優れたモデルを政府調達の対象に選ぶ考えで、霞が関で蓄積する運用データを東南アジアなどへの展開にもつなげる構想を描く。
当社の以前の記事では、ソフトバンクグループがフランスでAI向けデータセンター投資を具体化する可能性について取り上げました。数十億ドル規模から最大1000億ドル規模までの案が検討され、実現すればAIインフラ投資が米国中心から欧州へ広がる動きとして注目されます。
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