日米通貨当局の連携確認、市場安定と金利上昇対応の焦点に
中東情勢の混迷と日米の長期金利上昇が重なるなか、日本とU.S.の通貨当局は為替市場の安定に向けた協調姿勢を改めて打ち出している。日本政府による円買い・ドル売り介入への一定の理解や、金融システムを狙うAI悪用型サイバー攻撃への連携も議題となり、協力範囲は市場運営全般に広がっている。
ハイライト
- ベッセントU.S.財務長官と片山財務相は、過度な為替変動を抑え市場安定のため日米間の緊密連携を確認した。
- 13日、日本の10年国債利回りが一時2.6%と29年ぶりの高水準となり、U.S.長期金利上昇が国内債券市場に波及した。
- 日米通貨当局は新型AIを悪用したサイバー攻撃リスクについても協議し、金融システム安定のため国際協調強化で一致した。
為替安定と政策協調の確認
日経の報道によると、ベッセントU.S.財務長官は来日後、高市早苗首相や片山さつき財務相と相次いで会談し、片山財務相との間で外国為替市場の安定に向けた緊密な連携を確認している。記者団から日本の為替介入への見解を問われた同長官は、過度な為替変動は望ましくないと述べ、日本の財務省と緊密に連携していく考えを示している。
日本政府は4月末に円買い・ドル売り介入に踏み切り、その後の5月の連休中にも断続的に実施したとの見方が出ている。原油高と円安が重なれば国内インフレを押し上げるため、円売り加速を抑える狙いには一定の合理性がある一方、市場安定は介入だけで達成できるわけではない。
金利上昇と金融安定への波及
U.S.では物価指標の上振れを受けて長期金利に上昇圧力がかかっており、その影響は日本の債券市場にも波及している。13日の日本市場では、長期金利の指標となる10年物国債利回りが一時2.6%に上昇し、29年ぶりの水準を更新している。日本はU.S.国債の最大保有国であり、U.S.側が日本の為替市場の混乱回避を重視する背景には、自国の長期金利安定への配慮もあるとみられる。加えて、中東情勢を巡っては、仮に事態が早期に収束しても湾岸地域のエネルギーインフラ損傷が資源高や供給不安を長引かせる可能性があり、各国の政府と中央銀行には金利と為替の両面で堅実な政策運営が求められている。
一連の会談では、Anthropicの「Claude Mythos」などを念頭に置いた新型AIの悪用によるサイバー攻撃リスクも議論されている。金融システムの安定を脅かしかねない分野として、日本側はU.S.側と協力して対応する方向で一致しており、国際的な対策体制の整備が急務となっている。
当社の以前の記事では、日米の財務当局が東京で会談し、円相場を含む為替動向や金融市場の安定に向けた協調を改めて確認した点を整理しました。あわせて、中国の重要鉱物の輸出規制を受けた供給網強化や、新型AIの悪用による金融サイバー攻撃への共同対応など、為替以外の経済安全保障分野でも連携を広げる動きが議題になったことを伝えています。
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