首都圏の住宅ローン控除、価格上昇で実質支援が縮小

首都圏の住宅ローン控除、価格上昇で実質支援が縮小
住宅ローン控除縮小の現実

首都圏の新築マンション価格が上昇を続けるなか、住宅ローン控除の実質的な支援効果が薄れている。変動金利の上昇で控除率との差益が消える一方、控除対象となる借入限度額も縮小傾向にあり、持ち家取得の負担は一段と重くなっている。

ハイライト

  • 首都圏新築分譲マンション平均価格が4月に前年同月比24.8%高の8736万円となり、住宅取得環境が急激に悪化している。
  • 2026年の住宅ローン控除の借入限度額は省エネ適合住宅で2000万円と、首都圏平均価格の2割弱しかカバーできず、実質支援が縮小している。
  • 日本銀行の利上げで住宅ローンの変動金利が年1%に迫り、控除によるメリットがほぼ消滅、購入支援の体感が大きく低下している。

価格高騰と控除縮小の重なり

Nikkeiマネーが再構成した2026年7月号の記事によると、不動産経済研究所が5月21日に公表した4月の首都圏新築分譲マンション平均価格は前年同月比24.8%高の8736万円となり、住宅取得環境の厳しさが強まっている。3月は1億413万円だったため4月は3カ月ぶりに1億円を下回ったが、上昇基調自体は続いている。

東京23区の4月平均価格は1億2498万円で、首都圏のその他地域でも平均は6000万円台から7500万円台に達する。東京国税局管内の平均給与664万円、24年分, と比べると、23区外でも新築マンション価格が年収の10倍を超える地域が多い。

こうしたなか、住宅ローン控除の借入限度額は価格上昇に見合って拡大していない。2018年は首都圏の新築マンション平均価格が5871万円で、一般住宅の控除対象借入限度額は4000万円だったため、単独利用でも価格の約7割が対象になった計算になる。これに対し2026年は、一般的な省エネ基準適合住宅の借入限度額が2000万円にとどまり、3月の首都圏平均価格では2割弱、23区外でも3割弱しかカバーできない。

ZEH水準省エネ住宅に該当する新築物件では借入限度額が3500万円に上がるが、それでも首都圏平均価格に対しては3割強、23区外でも5割程度の水準にとどまる。住宅価格の高騰に対し、購入支援策の実効性が相対的に低下している構図が鮮明になっている。

金利上昇で優遇感が後退

日本銀行の利上げ政策を背景に、住宅ローンの変動金利は低い銀行の最優遇金利でも年1%に迫っている。以前は最低水準で年0.5%を下回る商品もあり、住宅ローン控除の控除率0.7%との差で実質的な恩恵を受けやすい状況があったが、足元ではそのメリットがほぼ消えている。

もともと住宅ローン控除は、借入金利が控除率を下回って借りるほど有利になる状況を前提にした制度ではない。金利と控除率の差が解消すること自体は制度本来の姿への正常化とみることもできるが、同時に借入限度額の縮小が進んでいるため、購入支援の体感は大きく低下している。

政策面では、一般所得層が持ち家取得を現実的な選択肢として維持できるかが焦点になる。価格上昇と金融環境の変化、税制上の支援縮小が同時に進むなか、住宅取得支援の方向性を見直す必要性が高まっている。

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