政府は2027年4月から食料品の消費税率を1%に引き下げる案を検討しているが、実現の前提としてきた野党協力に揺らぎが出ている。減税は給付付き税額控除の導入までの暫定措置と位置づけられる一方、野党内では現金給付や恒久減税を優先する意見が目立つ。
ハイライト
- 政府は食料品の消費税率を2年間1%に引き下げる案を検討し、開始は最短でも2027年4月となる見通し。
- 野党は1%案への賛同に慎重で、現金給付や恒久的な減税措置、所得連動型給付など代替案を主張している。
- 金融市場は減税による財政悪化リスクを警戒し、10年国債利回りが5月に29年ぶり高水準、為替は1ドル=160円の円安となっている。
1%案の工程と与野党の温度差
日経が報じたところによると、超党派の「社会保障国民会議」の実務者会議は10日、消費税減税を議論した。政府は食料品に限って税率を2年間1%へ引き下げる案を軸に検討しており、高市早苗首相は6月末までに可否を判断する構えだ。
自民党の後藤茂之氏は、2月の衆院選公約で掲げた2年間の食料品消費税ゼロに触れつつ、物価高を踏まえて早期実現の必要性を強調した。ただ、政府内では税率を1%にする場合でもレジシステム改修に最大6カ月を要するとみており、開始時期は2027年4月になる見通しだ。税率ゼロでは最大10カ月から1年程度の準備が必要とされる。
一方、野党側ではつなぎ措置としての減税に慎重な声が相次ぐ。国民民主党の古川元久税制調査会長は、消費税減税を行う必要性に疑問を示し、「社会保険料還付付き税額控除」の前倒しと現金給付を求めた。中道改革連合の赤羽一嘉税調会長も物価高対策としてまず現金給付を主張し、減税を実施するなら2年間に限らない恒久措置にすべきだと訴えた。
立憲民主党の石橋通宏氏は食料品の消費税ゼロに言及し、チームみらいは減税そのものに反対しつつ、年収に応じて給付額が変動する「所得連動型給付」を対案として示した。政府が想定する1%案は、野党から幅広い理解を得ている状況には至っていない。
財政運営と市場の警戒感
高市首相は2月、減税を実現するには野党を含む超党派合意が前提になるとの考えを示している。社会保障と税の一体改革は従来から与野党協力で進めてきた経緯があり、2012年に消費税率10%への段階的引き上げを決めた際も、当時の民主党、自民党、公明党が合意していた。そのため、国民会議で1%案の議論が十分に行われないまま政府・与党が方針を押し進めれば、社会保障改革を支えてきた協力の枠組みが損なわれる可能性がある。中道の小川淳也代表は4日の衆院予算委員会で、国民会議で1%案の具体的な議論が全く行われていないと首相を追及していた。
金融市場も消費税減税に伴う財政悪化リスクを警戒している。長期金利はインフレと財政不安への懸念から歴史的な高水準にあり、新発10年物国債利回りは5月に29年ぶりの高水準に達した。為替市場でも円安傾向が続き、足元では1ドル=160円に達している。政府の負担軽減策に伴う歳出が先行するなか、減税で財政悪化が一段と意識されれば、金利上昇や円安進行を通じて物価上昇圧力が強まる可能性がある。
当サイトの以前の記事では、ドル円が160円台前半で推移するなか、円買い介入の効果が薄れつつあるとの見方と追加介入の可能性に市場の関心が集まっている状況を整理しました。あわせて、当局の発言と実際の行動のタイミングが相場の変動要因になりやすい点を指摘し、円安局面での市場の警戒感が高まる構図を解説しています。
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