日本の系統用蓄電池投資が拡大、官製市場の追い風の一方で回収リスク
再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、送電網につないで需給を調整する系統用蓄電池への投資が日本で広がっている。政府が整えた需給調整市場が高収益期待を支える半面、市場ルールの見直し次第では投資回収の前提が揺らぐ可能性がある。
ハイライト
- 需給調整市場の上限価格設定と供給不足を背景に、蓄電池投資の内部収益率が20%超、建設費6億円を1〜2年で回収可能との見通し。
- 2025年末時点で送電網への接続照会済み蓄電所容量が172ギガワットに拡大し、業界横断で投資・参入が加速。
- 制度依存度が高いため、電力市場ルール変更が将来の収益性や競争環境に大きな影響を及ぼすリスクが存在。
需給調整市場が支える収益期待
日経によると、系統用蓄電池を巡っては一部の開発・売却会社の間で、内部収益率が20%を超える、建設費6億円を1〜2年で回収できるといった強気の見通しが出ている。こうした採算期待の背景には、政府が再エネ普及を後押しするために整備した市場制度がある。
政府は2024年4月に、電力需給を調整する能力を売買する需給調整市場を全面的に始めた。この市場では、蓄電所を保有する事業者が充放電を通じて「調整力」を売り、送配電会社がそれを買う仕組みとなっている。再エネ発電の増加で出力変動への対応需要が高まっており、調整力の価値は上がっている。
政府は事業者の過度な利益を抑えるため、1キロワット・30分あたり15円の上限価格を設けている。それでも足元では稼働済みの蓄電所が少なく、送配電各社が求める調整力に対して供給が限られるため、上限価格で約定しやすい状況が続いている。
参入拡大と制度変更リスク
国内では2022年ごろから、電力会社や商社を中心に系統用蓄電池の普及が始まり、その後は不動産、リース、通信など幅広い業種に投資が広がっている。市場環境の良さが新たな収益機会とみなされ、業界横断で参入が進んでいる。資源エネルギー庁によると、2025年末時点で大手電力の送電網への接続照会があった蓄電所容量は172ギガワットに達し、稼働済み容量の200倍超となっている。関西電力は2030年代の早期に100万キロワットの開発を目指しており、運用子会社も抱えるなど積極姿勢を強めている。
ただ、こうした投資には制度依存の色合いが強く、電力市場のルール変更が収益性を左右する可能性がある。足元の高収益期待が恒久的に続くとは限らず、投資家や事業者には価格水準、供給増加後の競争環境、制度改定の影響を慎重に見極める姿勢が求められる。
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