JR東海のリニア静岡工区、7月にも着工容認へ

JR東海のリニア静岡工区、7月にも着工容認へ
静岡リニア着工間近

リニア中央新幹線の静岡工区を巡り、JR東海が静岡県内の関係自治体向けに進めていた住民説明会が6月22日に完了した。地元理解の醸成を着工容認の前提としてきた静岡県の鈴木康友知事は、残る法的手続きの見通しが立てば7月中にも判断する公算が大きい。

ハイライト

  • 静岡市と大井川流域10市町で5月26日から計22回の住民説明会を実施、7月にも静岡リニア工区の着工容認が見込まれる。
  • 静岡工区着工で品川―名古屋間リニア開業は最短2036年見通しとなり、政府の国土形成計画にも追い風となる。
  • 資材費と人件費上昇により品川―名古屋間の総工費は11兆円と2014年の2倍に膨張、JR東海は7月にコスト管理強化へ組織再編を実施。

住民説明会完了と着工判断の工程

日本経済新聞によると、説明会は静岡市と大井川流域の10市町の住民を対象に5月26日から計22回開かれ、最終日の藤枝市の会合には88人が参加した。会場では大井川や南アルプスの環境保全策がパネルや映像で示され、来場者の質問にもJR東海の社員が個別に対応した。

JR東海の永長隆昭・中央新幹線静岡工事事務所長は、22回の説明会を通じて理解が深まったとの認識を示し、着工許可を得た場合は環境保全対策を着実に進める考えを述べた。県とJR東海は、水資源や自然環境の保全、残土処理など28項目について対話を続けてきており、一連の協議は3月に決着している。

今後はJR東海が6月23日以降、静岡県議会や関係市町の議会に本体工事に伴う環境対策を報告し、河川法や盛土規制法などに基づく許可申請を進める。県は全ての手続き完了を待たず、許可への見通しが立った段階で、着工に必要な「自然環境保全協定」をJR東海と締結する方針で、最終判断は鈴木知事に委ねられる。

鈴木知事は6月18日の県議会本会議で、県の対応が大きな山場を迎えつつあると述べている。県議会の閉会日である7月7日までの意思表示や、7月中旬の協定締結にあわせた容認表明も取り沙汰されており、正式なタイミングはなお流動的だ。

開業計画とJR東海の経営課題

静岡工区は2017年に当時の川勝平太知事が大井川の流量減少への懸念から着工に反対して以降、計画全体のボトルネックとなってきた。JR東海は打開を図ってきたが調整は難航し、2024年3月には品川, 名古屋間の開業目標を「最短2027年」から断念している。

鈴木知事の就任後は協議が前進し、年内に本体工事へ入れば、完了まで10年程度を要するとされる静岡工区の進展が、最短2036年と見込まれる品川, 名古屋間の開業実現を後押しする。政府も2023年の国土形成計画でリニアを三大都市圏を結ぶ「日本中央回廊」の中核インフラと位置づけており、計画の前進は国の運輸政策にも影響する。

JR東海は静岡工区以外の工事進捗も踏まえ、7月にリニアの技術開発と建設を担う部門を再編し、工程と工事費を一元管理する「企画戦略部」を新設する。資材費と人件費の上昇で品川, 名古屋間の総工費は11兆円と、2014年時点の5.5兆円から2倍に膨らんでおり、同社は意思決定の迅速化とコスト対策を急ぐ。

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