人口減少で自治体の担い手不足が深まるなか、政府は住民組織を通じて過疎地の行政サービスを補完する枠組みを広げる。交付税を活用した費用支援を強め、地域交通の確保や高齢者の見守りなど生活インフラの維持につなげる。
ハイライト
- 政府は2025年度までに全国8500以上の地域運営組織(RMO)設立を目指し、交付税支援と設立促進策を拡大。
- RMOは公共交通縮小に対応するライドシェア、ガソリンスタンド経営、子ども食堂運営など地域インフラや生活支援事業を拡大。
- 総務省は2026年度からRMO設立関連の臨時職員経費に交付税上限額を引き上げ、行政サービスの民間委託を加速。
交付税支援とRMO設立促進
日本経済新聞によると、政府は「地域運営組織」、RMOを通じて、地方自治体が担ってきた一部サービスの民間委託を進める方針だ。総務省が中心となって活動や設立を支援し、市町村は国からの交付税などを原資にRMOの運営費を助成する。
RMOは小学校区を単位に構成されることが多く、自治会や町内会、NPO法人、消防団、事業者に自治体も加わって運営する。2025年度には全国で8500以上の団体があり、16年度のおよそ3000団体から大きく増えている。
総務省は26年度から、RMO設立に向けたワークショップ開催時に必要となる臨時職員経費について、交付税措置の上限額を引き上げている。行政だけでは対応しにくい地域課題を住民組織が補完する体制づくりを急ぐ。
地域インフラ維持と生活支援の広がり
RMOは地域交通や防災、子どもの学習支援、高齢者への生活支援など、自治体機能の一部を担う。公共交通の廃止や縮小に対応するライドシェア、減少が続くガソリンスタンドの経営、子ども食堂の運営などを手がける例もある。高齢化に伴って増える消費者被害への対応も役割の一つになっている。日常的に高齢者と接するスタッフが訪問販売などのトラブルの兆候を察知し、自治体の消費生活センターへの相談を促したり取り次いだりする。
教育分野でも連携が広がる。総務省と文部科学省は、RMOとコミュニティースクールの連携を進めるよう全国の自治体に通知しており、不登校やいじめ、子どもの貧困といった課題への対応で地域と学校がビジョンを共有する仕組みを後押しする。
先行事例として、山形県川西町の「きらりよしじまネットワーク」は子ども食堂やICTを活用した高齢者見守り、買い物支援を実施する。広島県安芸高田市では、RMOが地域から撤退したガソリンスタンドと食料品店の複合施設を運営している。
弘前大の平井太郎教授(社会学)は、RMOについて、政府から委託された課題解決の手段ではなく、目指す地域のあり方を実現するための手段だという認識を住民、自治体職員、首長が共有することが重要だと指摘している。
当サイトの以前の記事では、夕張市の財政破綻から20年の節目を手がかりに、自治体財政の監視強化や再建の教訓を整理しました。地方全体の債務残高は減少傾向にある一方、金利上昇や人口減少、インフラ老朽化によって支出圧力が増し、財政規律の強化と住民サービスの持続性確保が課題になる点を指摘しています。
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