社会保障国民会議、所得連動給付の2029年度導入方針を決定
税と社会保障の一体改革の柱として、超党派の社会保障国民会議は働く中低所得者向けの新たな所得連動給付を2029年度に全面導入する方針を固めた。給付開始の年収水準は53万円、74万円、106万円の3案が示された一方、支給額や打ち切り水準、恒久財源はなお決まっていない。
ハイライト
- 社会保障国民会議は所得連動給付制度を2029年度本格導入とし、秋の法案提出に向け制度設計を詰める方針を決定。
- 新給付制度は年収53万円、74万円、106万円の各基準で給付開始を検討し、現金給付のみで開始し将来的な税額控除併用も検討。
- 支給額や恒久財源の規模は未定であり、金融所得や保有資産は当面把握対象外、消費減税の方針も引き続き協議。
制度設計と導入までの工程
日本経済新聞によると、与野党8党が参加する実務者会議は16日、議長を務める自民党の小野寺五典氏が示した制度案を、高市早苗首相をトップとする各党代表参加の親会議へ報告することを了承した。高市首相は同日、首相官邸で小野寺氏から方針決定の報告を受け、消費税減税についても各党との協議を続けるよう指示している。新制度は、所得の増加に応じて給付額が定額、逓増、定額、逓減を経て終了する設計とし、就労を促しながら「年収の壁」に直面する人への加算措置も設ける。給付開始の年収水準は53万円、74万円、106万円の3案を明記したが、給付終了の水準は未定で、秋の法案提出や2029年度の本格導入までに制度を詰める方針だ。
当初は給付付き税額控除を目指したが、事務負担の大きさを踏まえ、導入時は現金給付のみで始める。ただ、方針には将来的に給付のみと決め打ちせず、税額控除の組み合わせも含めて検討を続けると盛り込んだ。
財源確保と運用面の課題
制度の対象や運用にはなお不透明な部分が残る。高所得の配偶者がいる人は公平性の観点から対象外とする一方、勤労収入が極めて少ない就労者や病気などで働けない人への給付拡大も検討し、野党側が求めてきた対象拡大にも配慮する。運用は国と地方が協力して進め、全国一律のシステム基盤は国が整備し、住民対応は自治体が担う方向だ。これまでの一律給付に対するばらまき批判を踏まえ、所得に応じた支援へ改める狙いがある。
一方で、支給額や必要財源の規模、恒久財源の確保策は未定のままだ。制度設計では翁百合氏の「翁カーブ」を基礎に国際比較や高齢化の状況を踏まえるが、導入当初に把握対象とするのは事業所得、給与所得、業務に関わる雑所得に限られ、配当や利子など金融所得や保有資産の反映は将来の課題となる。
もう一つの焦点である消費減税は結論が出ておらず、実務者会議は22日に再び会合を開いて議論する。給付制度と消費減税を含むつなぎ措置の両方で方針を固め、早期に親会議へ報告する考えだ。
当社の以前の記事では、党首討論で消費税減税が主要争点として浮上し、与野党の支援策が「減税か給付か」で分かれている点を整理しました。食料品の税率引き下げ案や所得連動型給付の提案が並ぶ一方、社会保障財源の穴埋めや減税終了時の負担増への対応が不透明で、市場の信認と制度の安定性が課題になることも指摘しています。
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