内閣府、32カ国の石油備蓄放出でアジア景気の急減速回避と分析
中東情勢の緊迫でエネルギー供給への懸念が強まるなか、内閣府は2026年上半期のアジア景気が急減速を回避したとみている。石油備蓄の協調放出に加え、各国が原油の調達先を分散したことが、エネルギー不足による生産停滞の抑制につながった。
ハイライト
- IEA加盟32カ国が協調して計4億バレルの石油備蓄を放出し、アジアの急速な景気減速を回避したと内閣府が分析。
- 中国はロシアとブラジルからの原油依存度を2025年の24.8%から35.4%へ拡大し、インドもロシアからの輸入が36.3%へ増加。
- 日本の中東産原油依存は2025年の93%から2026年5月に74%へ低下し、北米産原油が22%に拡大。
報告書が示した需給安定策
日本経済新聞によると、内閣府が17日に公表した報告書「世界経済の潮流」によると、主要国・地域の鉱工業生産を分析した結果、中国や韓国で石油製品の生産が落ち込んでも、3カ月移動平均では中国、韓国、インドが前年を上回っている。日米欧など32カ国による石油備蓄の協調放出が下支え要因になったとみている。
国際エネルギー機関(IEA)は日本を含む加盟国による石油備蓄の協調放出を決めており、供給制約の緩和に向けて過去最大規模となる計4億バレルを市場に供給する。報告書は、各国の原油確保策がエネルギー不足による経済停滞を防いだと位置づけている。
アジアの調達分散と産業への影響
中東以外からの代替調達も進んでいる。中国はロシアやブラジルからの輸入依存度を高め、2025年時点で24.8%だった2カ国への依存度は、トランプ米政権によるイラン攻撃後に35.4%へ上昇した。インドではロシアが36.3%で最大の輸入先となり、アフリカ諸国やオマーンからの輸入も伸びている。韓国ではU.S.からの輸入が2025年時点の17.1%から2026年3月以降は22.8%に拡大し、アフリカ諸国や豪州からの調達も増えている。日本は経済産業省によると、2025年に輸入した原油の93%をホルムズ海峡経由の中東産に依存していたが、2026年5月時点では中東産が74%に低下し、北米産は22%に増えた。
内閣府は、原油調達不安や一部の国の需要抑制策が景気を下押しする懸念はあるものの、アジアでは世界的に旺盛なAI関連投資の恩恵がその圧力をおおむね相殺しているとみている。生成AI向け半導体やデータセンター投資が関連企業の活動を支える一方、欧州については明確な成長のけん引役が見当たらず、景気下押し圧力が相対的に働きやすいと指摘している。
当社の以前の記事では、公正取引委員会がM&A審査の指針改定案を公表し、競争制限の有無に加えてイノベーション促進やレアアースなど重要原材料の安定調達といった政策効果も判断材料として重視する方向を整理しました。効率性向上などの利点が不利益を上回る場合には、一定の国内シェア上昇があっても認めやすくなり、国際競争が激しい分野の再編を後押しする可能性がある点も取り上げています。
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