公取委、大企業M&A審査指針を改定へ, 技術革新と経済安保を重視

公取委、大企業M&A審査指針を改定へ, 技術革新と経済安保を重視
M&A審査に新基準

日本のM&A審査は、競争制限の有無だけでなく、技術革新や重要物資の安定調達といった政策効果も重視する方向に変わる。公正取引委員会は17日に指針改定案を公表し、意見公募を経て秋にも新たな運用を始める。

ハイライト

  • 公正取引委員会は、M&Aの利点が不利益を上回る場合は一部審査基準を緩和する改定案を提示した。
  • 対象は国内売上高200億円超の大企業で、イノベーション促進や重要原材料調達安定化も審査上の利点として重視する方針。
  • 外国企業製品の流入時は国内シェア上昇を容認しやすく、造船業など国際競争が激しい分野の再編を後押しする可能性が高い。

M&A審査の判断基準見直し

日本経済新聞が報じた内容によると、公正取引委員会は大企業の合併・買収や事業譲渡の審査指針について、M&Aの利点が不利益を上回る場合は、国内競争への一定の影響があっても認める方針を明確にする。改定案では、審査を経れば大半の案件が当初計画通りに実施可能と示している。

対象は国内売上高が200億円を超える企業などで、競争を阻害し価格や品質、生産数量を単独で左右できると判断されれば、排除措置命令の対象となる。もっとも改定案は、国内シェアの高さだけで機械的に判断せず、効率性向上による競争促進効果を広く考慮する姿勢を打ち出している。

具体的には、イノベーションの促進、レアアースなど重要原材料の調達安定性、脱炭素性能の向上を審査上の利点として見込む。国内シェアが100%となる場合でも、こうした効果が競争上の不利益を上回ると判断されれば認可の可能性を残す。

産業界への影響と想定分野

今回の見直しには、企業が独占禁止法への抵触を過度に恐れ、再編や統合に慎重になりすぎる事態を避ける狙いがある。公取委は17日にパブリックコメントを開始しており、寄せられた意見を踏まえて最終的な指針を固める。

外国企業の安価な製品が日本市場に流入している場合には、M&Aで国内シェアが上昇しても計画を認める方向で考慮することも明示した。造船のように国境を越えた取引が多く、国際競争が激しい分野では、国内再編を通じた競争力強化の追い風になる可能性がある。

当社の以前の記事では、大日本印刷(DNP)がキリンHD系の原薬製造会社である協和ファーマケミカルの全株式を取得し、10月に完全子会社化する計画を取り上げました。原薬から包装までを一括で担うCDMO体制を強化して医薬品事業の拡大を狙う一方、買収は独占禁止法に基づく手続きの完了が前提となる点も整理しています。

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