自治体の基幹業務システム標準化が進むなか、ベンダー変更時の移行費用や見積もり対応を巡る競争上の懸念が強まっている。公正取引委員会は全国の自治体にアンケートを送り、IT企業による高額請求や情報開示拒否が独占禁止法上の問題に当たらないか検証する。
ハイライト
- 公正取引委員会は11月4日、自治体業務システム委託でIT企業の不当囲い込みの実態調査を開始し、回答期限を20日に設定。
- 自治体からはベンダーによる高額なデータ移行料請求や見積もり説明拒否が報告され、乗り換え妨害が独禁法上の問題となる可能性が指摘されている。
- 基幹業務システム標準化により切り替えとコスト比較の容易化が期待されるが、既存ベンダーの妨害で経費削減効果が損なわれる懸念がある。
調査の対象と進め方
日本経済新聞によると、公正取引委員会は11月4日、地方自治体の業務システム委託を巡り、IT企業による不当な囲い込みなど独占禁止法上の問題がないか実態調査を始めると発表した。同日に全国の全自治体へアンケートを送付し、回答期限を20日に設定したほか、数十のシステム会社にも聞き取り調査を実施する。自治体からは、委託先を変更しようとすると高額なデータ移行作業料を請求される、見積もり内容の説明を求めても拒否される、といった報告が関係省庁や公取委に寄せられている。公取委は、こうした行為が事業者の乗り換えを不当に妨げたり、新規参入を阻んだりする場合、独禁法上の問題につながる懸念があるとみている。
岩成博夫事務総長は4日の記者会見で、必要な時に事業者を円滑に切り替えられることや、多様な事業者が参入できる環境整備が重要だと述べた。調査はデジタル庁や総務省と連携して進め、独禁法上の懸念が確認されれば是正を促す方針だ。
標準化政策と自治体コストへの影響
政府は2021年、戸籍や住民基本台帳、児童手当など20の基幹業務システムについて、自治体ごとに異なっていた仕様を標準化する法律を施行している。各自治体は対応を進めており、標準化基準に適合したシステムへの移行が進めば、事業者ごとの運用費用を比較しやすくなり、切り替えもしやすくなる。一方で、既存ベンダーが高額な手数料などで移行を妨げれば、標準化によって期待される経費削減の効果は損なわれる可能性がある。公取委は、制度面や規制面に課題が見つかった場合、関係省庁に見直しを提言する可能性もある。
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