中東情勢を背景にナフサ価格の上昇が続くなか、三菱ケミカルグループは界面活性剤原料の価格改定に踏み切る。5月1日納入分から酸化エチレンのほか関連中間材料4製品を引き上げ、日用品や素材分野のコスト増が広がる可能性がある。
ハイライト
- 三菱ケミカルグループは5月1日納入分より酸化エチレンを1kgあたり130円以上、中間材料4種を90〜110円以上値上げすると発表。
- ホルムズ海峡封鎖によるナフサ価格高騰でコスト上昇、国産ナフサの原油も含め国内での中東依存度は8割に達する。
- 酸化エチレンで国内4割弱の生産能力を持つ三菱ケミカルグループの値上げは、洗剤など川下や繊維・樹脂等幅広い産業に波及する見通し。
価格改定の対象と実施時期
日本経済新聞によると、三菱ケミカルグループは4月17日、界面活性剤の原料となる酸化エチレンなどを5月1日納入分から値上げすると発表した。原料となるナフサの高騰を受け、価格に転嫁する。
対象は、基礎化学品エチレンからつくる酸化エチレンと、それを基にした中間材料だ。酸化エチレンは1キログラムあたり130円以上引き上げる。中間材料では、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレンカーボネートの4種類をそれぞれ1キログラムあたり90〜110円以上値上げする。値上げ率は非開示とした。
酸化エチレンは鹿島コンビナートで生産し、日用品メーカーなどに供給している。界面活性剤は洗剤などに使われるため、川下製品の採算にも影響が及ぶ可能性がある。
中東依存の調達構造と業界への波及
国内のナフサ需要のうち4割は中東からの輸入で、さらに国産ナフサの原料となる原油も9割超を中東に依存しており、実質の中東依存度は8割に達している。ホルムズ海峡の事実上の封鎖の影響でナフサ価格が上がっていることが、今回の価格改定の背景にある。
三菱ケミカルグループは鹿島コンビナートの設備などで減産を続ける一方、中東以外からのナフサ輸入を増やすなどして稼働維持に努めている。酸化エチレンの生産能力は国内全体の4割弱を占め、供給面での存在感が大きい。
同分野では、日本触媒もすでに4月1日出荷分から値上げしている。基礎化学品のコスト上昇が広がることで、繊維、セメント、樹脂添加剤、リチウムイオン電池材料まで幅広い産業に価格転嫁の動きが波及しそうだ。
当社の以前の記事では、ホルムズ海峡の事実上の封鎖を受けたナフサ高騰と調達不安の広がりについて取り上げました。旭化成は中東外からの調達を増やして6月末までの必要量確保にめどをつける一方、調達価格が通常の倍近い水準となり、化学品から生活関連製品・住宅部材まで幅広い領域でコスト転嫁の判断が課題になる点が焦点でした。
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