日本の企業型DC活用拡充が課題に、制度理解と運用改善が焦点

日本の企業型DC活用拡充が課題に、制度理解と運用改善が焦点
企業型DC活用の課題

少子高齢化とインフレ対応が重なるなかで、公的年金を補完する企業年金の役割は一段と重くなっている。企業型確定拠出年金は加入者数が確定給付企業年金に迫る規模へ広がる一方、制度理解の遅れや運用の偏りが活用拡大の制約になっている。

ハイライト

  • 企業型確定拠出年金(DC)加入者数は862万人となり、確定給付企業年金(DB)の887万人に迫る規模へ拡大。
  • 2024年4月からマッチング拠出の上限が緩和されたものの、利用者は対象者の3割強にとどまり、制度周知不足が顕在化。
  • 転職時に手続きされず運用されていない年金資産が3000億円超に達し、ポータビリティー制度改善の必要性が高まっている。

制度改正と利用拡大への課題

日本経済新聞の社説では、2001年の確定拠出年金法施行から25年がたち、企業型確定拠出年金(DC)の重要性が増している一方で、制度の複雑さが十分な活用を妨げていると論じている。企業が運用責任を負う確定給付企業年金(DB)からの移行が進み、DCの加入者数は862万人と、DBの887万人に匹敵する規模になっている。

ただ、一般の理解は追いついていない。関係団体による昨年の調査では、4分の1がDC制度を知らないと答え、利用しない理由では複雑でわからないとの回答が多い。加入者の間でも拠出限度額や掛け金額を把握していない人が少なくない。

4月には、従業員が会社の掛け金に上乗せするマッチング拠出の制度が変わり、会社掛け金の範囲内という上限がなくなった。所得控除の対象となって所得税や住民税の負担軽減につながるにもかかわらず、利用者は対象者の3割強にとどまっており、制度周知の不足が浮き彫りになっている。

企業と制度運営に求められる見直し

運用商品の選択でも課題は残っている。預貯金など元本確保型だけで運用する人が約2割おり、その背景に理解不足があるなら、インフレ下で実質的な資産目減りを招く懸念がある。

企業には、従業員が継続的に学べる機会を設け、自分に合った資産形成を考えられるよう知識を底上げする責任がある。長年見直されず高い手数料の商品が残る例もあり、年齢に応じてリスクを調整できる投資信託の追加なども検討に値する。

転職時に年金資産を持ち運べるポータビリティーも十分に生かされていない。手続きが行われず、運用されないまま放置されている資産は3000億円を超えており、雇用の流動化が進むなかで、国にもより使いやすい制度整備が求められている。

企業型DCを含む新社会人向けの資産形成のポイントについて、当社の以前の記事では、初任給の実質価値や非課税運用を意識した投信積立など、働き始めに押さえたい判断材料を整理しました。あわせて、社会保険の「130万円の壁」をめぐる算定ルール変更の要点にも触れ、働き方と手取りに影響する制度面の注意点を解説しています。

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