大規模災害やテロで選挙実施が難しくなる事態を想定し、衆院憲法審査会は国会議員の任期延長の法的根拠を巡る議論を進めている。焦点は、任期延長や内閣権限の特例を憲法に明記するか、法律で対応するかにあり、地方選で使われてきた特例法の扱いとの違いも論点になっている。
ハイライト
- 衆院法制局は災害・テロ発生時の選挙困難を想定し、議員任期延長の制度案を14日の衆院憲法審査会で提示した。
- 試算では衆院選直前の地震発生で首都直下地震は議員の23.9%、南海トラフ地震は28.6%を選出できない見通しとなった。
- 2025年6月までに自民、日本維新の会、国民民主、公明の4党が任期延長を含む骨子案をまとめ、憲法明記か法律での対応が争点化している。
制度設計と想定される発動要件
日本経済新聞によると、衆院法制局は14日の衆院憲法審査会で、災害やテロなどの有事に選挙実施が困難になった場合を想定した制度のイメージ案を示している。与党や国民民主党は憲法上の根拠を設けるべきだと主張し、中道改革連合などは法律で十分対応できると反論している。
イメージ案では、内閣が国会の事前承認を受けて「選挙困難事態」を認定する仕組みを盛り込んでいる。対象には、大規模自然災害、感染症の大規模まん延、内乱などによる社会秩序の混乱、外部からの武力攻撃、それらに匹敵する事態の5類型を挙げ、延長期間は1年または6カ月とし、上限を設ける案を示している。
2025年6月には自民、日本維新の会、国民民主、公明の4党などが骨子案をまとめており、議員任期の延長が柱になっている。憲法は衆院議員の任期を4年、参院議員を6年と定めており、特例法だけで国会議員が自らの任期を延ばすことには、権力乱用につながるとの懸念が出ている。
過去の選挙延期と制度導入の波及
地方選では、1923年の関東大震災で緊急勅令により最大9カ月延期し、1995年の阪神大震災では3市の選挙を5カ月、2011年の東日本大震災では3県と54市町村で最大8カ月延期している。現行憲法下では阪神大震災と東日本大震災の2例が特例法で処理された一方、国政選挙の延期に前例はない。衆院憲法審などが2025年3月に公表した試算では、衆院選直前に地震が起きた場合、首都直下地震では衆院議員の23.9%、南海トラフ地震では28.6%を選出できないとしている。こうした見通しが、国会機能の維持と選挙の正統性をどう両立させるかという制度設計を後押ししている。
海外では対応が分かれており、国立国会図書館が2023年にまとめた資料では、G7でも憲法明記と法律対応に二分されている。法制局案には、国会機能の維持が難しい場合の内閣権限強化も含まれ、予算措置や法律と同じ効力を持つ政令を認めたうえで国会の事後承認を義務付ける内容が示されている。東大の目黒公郎教授は、柔軟な事態対応に加え、有事でも許されない行為を定める視点が重要だと指摘している。
当社の以前の記事では、国家情報局(仮称)の設置法案が参院内閣委員会で審議入りし、活動状況や脅威評価を業務に支障のない範囲で国会に説明・公表する方針が示された点を整理しました。あわせて、デモ参加のみで調査対象としない運用や、個人情報保護・政治的中立性の確保など、権限の歯止めが制度設計上の焦点になることも伝えています。
最新の市民の権利ニュース
- Forex
- Crypto