日中安全保障リスク、中国の対日批判強化で長期化の様相

日中安全保障リスク、中国の対日批判強化で長期化の様相
日中リスク 長期化へ

海上自衛隊の護衛艦「いかづち」による4月17日の台湾海峡通過を受け、中国は日本近海での軍事演習やパトロールを含む対抗姿勢を強めており、日中の安全保障対立は一段と深まりつつあります。背景には台湾有事を巡る高市早苗首相の発言や、中国指導部が国内外に発信する対日強硬な物語づくりがあるとみられます。

ハイライト

  • 中国は自衛艦の台湾海峡通過を強く非難し、「新型軍国主義」を主張して日本への抗議レベルを引き上げた。
  • 中国は通過日が下関条約調印日と重なった点を指摘し、日本側の意図を批判して国内の反日感情を刺激した。
  • 2027年秋の共産党大会を控え中国リスク回避姿勢が強まり、今回の対日反発は安全保障リスク長期化につながる可能性が高まっている。

中国の反発が強まる背景

日本経済新聞によると、中国の政治外交史を専門とする川島真・東京大学教授は、ラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「中国経済の真相」で、今回の対応について日本に対する抗議のレベルがかなり上がっているとの見方を示しています。過去に自衛艦が台湾海峡を通過した際、中国側は抗議しつつも、同海峡が国際水域で各国船舶に航行の自由があるとの説明を添えていましたが、今回はそうした言及がなく、日本への非難に終始しています。

川島氏は、こうした変化の背後に高市首相の台湾有事を巡る発言への反発があるとみています。中国側は、日本が「新型軍国主義」に向かっているとの主張を国内外に広げており、今回の通過をその物語を補強する材料として位置づけているとみられます。

さらに中国側は、通過日が4月17日だった点も非難材料にしています。1895年4月17日に清朝が日本へ台湾を割譲する下関条約を結んだ歴史に触れ、中国軍機関紙の解放軍報は、日本が意図的にこの日を選んだとして中国人の感情を大いに傷つけたと批判しています。

党大会を控えた対日関係への影響

日本側が日付を意識していたとは考えにくいものの、川島氏は中国が今回の事案を日中関係悪化の方向に活用していく可能性が高いとみています。中国では2027年秋の共産党大会を控え、すでに人事を意識した局面に入っており、日本との関係改善に動くことは政治的なリスクになりやすい状況です。

このため、今回の反発は一時的な外交摩擦にとどまらず、日中対立の長期化につながる可能性があります。安全保障分野での緊張が続けば、日本近海での中国の活動活発化や、両国間の対話環境の一段の悪化が懸念されます。

当社の以前の記事では、日本政府が防衛装備品の輸出ルールを見直し、「5類型」の撤廃によって殺傷能力を持つ装備品を含む移転の運用範囲が広がる点を整理しました。高市首相は専守防衛と矛盾しないと説明する一方、今後は輸出先の管理や個別案件の厳格審査など、歯止めの実効性が焦点になることも指摘しています。

この資料には第三者の意見が含まれている場合がありますが、このウェブページ上のデータおよび情報は、当社の免責事項に従って投資アドバイスを構成するものではありません。厳格な編集上の誠実性を遵守していますが、この投稿にはパートナーの製品に関する言及が含まれている場合があります。