中東情勢を背景に物価高と景気悪化への警戒が強まるなか、日銀の4月利上げを巡って経済学者の見方が割れている。利上げ支持は30%、反対は28%で、最多は「どちらとも言えない」の40%となり、円安是正と景気下押しリスクの評価が分かれている。
ハイライト
- 日経パネル調査で日銀の4月利上げを巡り、50人の経済学者が賛否拮抗し判断が割れていることが明らかになった。
- 円安や原油高によるインフレ懸念から一部学者は利上げ支持を主張し、1970年代の石油危機の再来リスクにも警鐘が鳴らされた。
- 一方、景気下振れやスタグフレーション懸念から追加利上げに慎重な意見も根強く、4月会合での現状維持を求める声が多い。
4月会合を前に割れる政策判断
日本経済新聞社と日本経済研究センターの「エコノミクスパネル」によると、日銀が4月に利上げすべきかどうかを巡り、50人の経済学者の見解は拮抗している。調査は16〜21日に実施され、27〜28日の金融政策決定会合では政策金利を0.75%に据え置く公算が大きい中でも、金融引き締めの是非を巡る判断は定まっていない。
一橋大の陣内了教授は、理論的には引き締め、緩和、現状維持のいずれも正当化できるとしつつ、どの選択にも代償が伴うと指摘する。政策運営の難しさが増すなか、円安と物価上昇への対応を優先するか、景気への負荷を抑えるかが論点になっている。
利上げを支持する側からは、日本の金利水準の低さが円安を招き、輸入物価の上昇を通じて物価高を助長しているとの見方が出ている。武蔵野大の福田慎一特任教授は、利上げで円高方向に振れれば物価安定に寄与するとの認識を示した。
また、一橋大の深尾京司特命教授は、原油高が人々のインフレ期待を押し上げれば、幅広い品目で価格上昇が広がる二次的効果が起こり得るとみる。1970年代の第1次石油危機時の経験を踏まえ、対応が遅れれば期待インフレが上振れし、インフレ加速につながるリスクがあると警鐘を鳴らしている。
円安是正と景気下振れ懸念の綱引き
一方で、原油価格の上昇は企業や家計のコスト増を通じて景気を冷やす恐れがあり、利上げに慎重な意見も根強い。物価高と景気悪化が同時に進むスタグフレーションへの懸念から、追加利上げは時期尚早だとみる学者が目立つ。米カリフォルニア大デービス校の保田彩子教授は、現時点ではインフレ急騰よりも景気が下振れし後退に向かうリスクの方が大きいとして、利上げに慎重な姿勢を示す。東京大の松井彰彦教授も、コスト高や供給減少による納期遅延が課題となる中で、金利上昇は企業経営を圧迫する要因になりかねないとみている。
中東情勢の先行きが見通せない中、4月会合で拙速に動く必要はないとの見方もある。中央大の塩路悦朗教授は、高インフレ定着の危険性を認めつつも、不確実性が高まる局面では今すぐ行動に移さなくてもよいと述べた。慶応大の坂井豊貴教授も、国際政治の不確実性が高い中では、当面は現状維持が妥当との見方を示している。
当社の以前の記事では、原油高と中東情勢の緊張を背景にジェット燃料コストが上昇するなか、ANAが2027年度にも国内線で燃油サーチャージ導入を検討している動きを整理しました。導入時期や金額は未定で、需要減少リスクを踏まえて慎重に判断する方針とされ、燃料高が運賃や家計負担へ波及する可能性が焦点でした。
最新の石油ニュース
- Forex
- Crypto