大企業の社員らが入る健康保険組合では、2026年度に保険料率が高止まりし、協会けんぽ並みの水準に達する組合が広がっている。高齢者医療を支える拠出金の増加が財政を圧迫し、赤字見通しの組合も全体の7割に達する。
ハイライト
- 2026年度の健保組合の平均保険料率は9.32%で依然高水準、376組合(27.6%)が9.9%以上に達し約3割が解散水準に接近。
- 健保組合の7割が赤字を見込み、全体収支は2890億円の赤字予想、保険料収入の約4割が高齢者医療拠出金として負担される。
- 高齢化進展で2026年度の65歳以上向け拠出金は3兆9792億円(前年度比2.2%増)、2030年度には4.5兆円規模へ増加見通し。
2026年度の料率見通しと財政悪化
日本経済新聞が報じたところによると、健康保険組合連合会は4月28日、1364ある健保組合の2026年度の保険料率と収支見通しを公表した。保険料率が9.9%以上となる組合は376で全体の27.6%を占め、主に中小企業の従業員らが加入する協会けんぽの全国平均料率と並ぶ水準に達している。
平均保険料率は9.32%となり、過去最高だった2025年度から0.02ポイント低下するものの、高い水準が続く。赤字を見込む組合は1010と全体の7割に上り、健保組合全体の経常収支は2890億円の赤字となる見通しだ。
健保組合では、協会けんぽと異なり給付費への国費投入がなく、保険料率が同水準まで上がると独自運営の利点が薄れるとみられてきた。9.5%から10%未満の組合も29.4%あり、解散水準に近い組合はさらに広がっている。
高齢者医療負担の拡大と制度改革の焦点
料率高止まりの背景には、高齢化に伴う医療費の膨張がある。現役世代が加入する健保組合は保険料を原資に高齢者医療を支えており、2026年度の65歳以上向け拠出金は3兆9792億円と前年度比2.2%増え、保険料収入の4割がこの負担に回る。平均料率は、75歳以上が入る後期高齢者医療制度が始まった2008年度から約2ポイント上昇している。高齢者向けの拠出金は2030年度に4.5兆円規模と、足元から1割増える見通しで、医療と介護の需要増に加え、支え手となる世代の減少も重なる。
健保連の米川孝副会長は4月28日の記者会見で、高齢者支援金の負担が爆発的に増えることへの懸念を示し、中長期的な視点で高齢者医療費の負担のあり方を見直すよう求めた。自民党と日本維新の会は2025年10月の合意文書に社会保障改革を盛り込んでいるが、OTC類似薬の保険適用見直しなどでは調整が難航しており、現役世代の負担圧縮策の実現性はなお不透明だ。
当社の以前の記事では、厚生労働省が「同一労働同一賃金制度」の指針を改正し、継続的に働く非正規労働者にも正社員並みの家族手当などの支給を求める方向を明確化した点を整理しました。2026年10月からの適用を見据え、是正指導件数の急増も背景に、企業に手当制度や労務管理の抜本的な見直しが迫られている状況を取り上げています。
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