日本の高齢者求職、物価高と年金抑制で4月に過去最多

日本の高齢者求職、物価高と年金抑制で4月に過去最多
高齢者求職が最多

日本で65歳以上の新規求職申込件数が4月に12万8003件となり、過去最多を更新している。物価上昇が続く一方で年金の伸びが抑えられており、生活費を補うために就業を求める動きが広がっている。

ハイライト

  • 4月の新規求職申込件数は51万7663件で前年同月比1.8%増、65歳以上は3.9%増で全体の4分の1を占めた。
  • 企業の44.8%が過去半年で65歳以上を非正規雇用し、人手不足対策として高齢者採用が進んでいる。
  • 在職老齢年金制度の上限が2026年度から賃金と年金合計65万円に引き上げられ、働き控え抑制策が強化される。

4月の求職動向と年金環境

日本経済新聞が厚生労働省の4月の一般職業紹介状況として報じたところ、全体の新規求職申込件数はパートを含む常用で51万7663件と前年同月比1.8%増えた。65歳以上の求職は前年同月比3.9%増で全体の4分の1を占め、有効求人倍率は季節調整値で1.18倍と前月から横ばいだった。

4月は例年、年度末の退職者が再就職に動くため高齢者の申し込みが増えやすい時期とされる。ただ、厚労省担当者は、物価高のなかで年金だけでは足りず、ダブルワークをしなければならないとの声も聞くとしており、生活防衛のための求職が増えている実態がうかがえる。

政府や自治体によるガソリン代や水道料金への補助で物価上昇は一部で和らいでいるものの、中東情勢の混迷を受けて食料品を中心に追加値上げの動きが出ている。ニップンは5月28日、小麦粉やパスタなどを8月1日納品分から1〜12%値上げすると発表している。

公的年金では、インフレ時に給付額の伸びを賃金や物価の上昇率より低く抑えるマクロ経済スライドの定着が進んでいる。年金額は物価変動率と過去3年平均の名目手取り賃金変動率をもとに毎年改定され、2025年6月支給分からは1.9%引き上げたが、算定に用いた2024年の消費者物価指数上昇率2.7%と、2021〜2023年度平均の賃金変動率2.3%を下回っている。

企業の採用需要と就業拡大策

高齢者の就業意欲が高まる一方で、企業側の受け入れ需要も強い。マイナビが2025年5月に実施した調査では、直近半年間に65歳以上を非正規で採用した企業の割合は44.8%に達した。

今後、非正規で高齢者を採用したいと答えた企業に理由を尋ねると、「人手不足の解消・改善につながる」が48.9%で最も多かった。人手不足が続くなか、高齢者雇用は労働力確保の現実的な選択肢として位置づけられている。

厚生労働省は3月、働く意欲がある高齢者の就業機会を広げる基本方針を公表している。企業の70歳までの就業確保策の普及に向けた助成を強化し、2029年までに65〜69歳の就業率を57.0%以上にする目標を掲げる。

在職老齢年金制度の見直しも進んでいる。2026年度からは賃金と厚生年金の合計が65万円以下であれば厚生年金を満額受給できるようになり、従来の51万円以下から基準を引き上げることで働き控えの抑制を狙っている。

当社の以前の記事では、4月の有効求人倍率が季節調整値で1.18倍と前月から横ばいとなり、雇用市場が停滞感を示している点を整理しました。あわせて、新規求人数が12カ月連続で減少するなか、卸売・小売や宿泊・飲食、情報通信などで落ち込みが目立ち、省人化の進展や「求人疲れ」による募集抑制が広がっていることも取り上げました。

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