日本の対日投資審査強化、経済安保と投資透明性の両立が課題に
日本は改正外為法の成立により、海外からの対日投資を審査する新たな枠組みを整え、日本版CFIUSの創設で経済安全保障への対応を強める。重要技術や情報の流出防止を図る一方で、成長資金を呼び込む対日投資を冷やさないため、制度運用の透明性と予見可能性が焦点になる。
ハイライト
- 改正外為法により、外国投資家の日本企業への出資審査が強化され、間接保有や非指定業種投資も対象に拡大。
- 2024年春、政府はMBKパートナーズの牧野フライス買収に中止勧告を出し、アルテミラ・ホールディングス買収は承認するなど判断基準の透明性が課題に。
- 新設の日本版CFIUSは経済安保と投資促進の両立が求められ、専門人材拡充と透明性向上が今後の焦点。
改正外為法の審査範囲と新組織の役割
日本経済新聞の社説では、改正外為法の成立により、外国投資家による日本企業への出資や買収を巡る審査体制が一段と厳格になると論じている。新設する対日外国投資委員会、日本版CFIUSは、財務省と国家安全保障局(NSS)が共同議長を担い、経済産業省や防衛省などの参加を想定する。
外為法は、航空機、宇宙開発、半導体製造装置といった製造業に加え、電力や通信などの社会インフラ分野を重要業種に指定している。こうした分野を担う国内企業で外国投資家が一定以上の株式を取得する場合、政府は事前届け出を求め、審査結果に応じて投資の変更や中止を勧告、命令する。
今回の改正では審査対象が広がり、日本企業の議決権を持つ外国企業の株式を別の外国投資家が取得するような間接保有も対象に含める。非指定業種への投資でも、国の安全に大きな影響があると判断すれば報告を求める仕組みとなる。
軍民両用技術の重要性が高まるなかで、新組織には経済安保と産業育成をあわせて判断する役割が求められる。制度の実効性を高めるには、技術の重要度を見極める専門性や、情報を分析して脅威を評価する能力を持つ人材と組織体制の拡充が課題となる。
対日投資への影響と透明性確保
制度運用で最大の論点となるのは透明性だ。予見可能性が低ければ、海外マネーが日本市場への投資を控える可能性があり、成長戦略への影響も避けにくい。本文では、政府が今春、アジア系投資ファンドMBKパートナーズによる牧野フライス製作所の買収計画に外為法に基づく中止勧告を出す一方、MBKによるアルテミラ・ホールディングス買収は事前審査で承認した事例を挙げている。別案件ではあるものの、判断基準が見えにくい状況では制度への信頼を損ないかねない。
日本はU.S.のCFIUSを参考にして制度を整えるが、U.S.の組織は半世紀にわたる省庁横断の運用経験を持つ。日本でも形式的な省庁連携にとどまらず、脅威を遮断しながら健全な投資を着実に受け入れる枠組みを築けるかが問われる。
当社の以前の記事では、改正外為法の成立を受けて、対日外国投資の安全保障審査が強化され、日本版CFIUS(対日外国投資委員会)の創設準備が進む点を整理しました。審査対象には、外国政府の実質支配下にある企業や間接保有取引が加わり、個別案件ではMBKパートナーズの買収事例を通じて当局判断の透明性が市場の注目点として浮上していることも取り上げています。
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