NASAの月面基地計画、シスルナ安保と国際ルール整備が焦点に

NASAの月面基地計画、シスルナ安保と国際ルール整備が焦点に
月面基地と新たな課題

月面開発の具体化が進むなか、宇宙インフラの主導権と安全保障を巡る競争は地球外へ広がりつつある。2032年以降の居住をめざすNASAの新計画は、技術開発だけでなく、日本にシスルナ監視や月面ルール形成への備えを迫っている。

ハイライト

  • NASAは月面基地計画を発表し、2032年以降の人類定住を目指すが、シスルナ空間の監視不足が安全保障上の懸念となっている。
  • 米国は2025年末の大統領令でシスルナ防衛能力の確保を指示、日本も25年の防衛指針で関心を示すが対応は遅れている。
  • インフラ整備を巡る国際ルール整備が議論され、日本にはアルテミス計画を生かした秩序形成とルール策定の主導が期待されている。

月面基地構想と監視空白

日経によると、米航空宇宙局、NASAは月面基地建設の新たな計画を発表し、2032年以降の人類居住を視野に入れている。米国主導のアルテミス計画が約半世紀ぶりに宇宙フロンティアへ踏み込む一方、地球から月に至るシスルナ空間では各国の活動を十分に監視できない状態が安全保障上の懸念になっている。

本文では、他国の活動実態が見えにくいこと自体が防衛リスクだと指摘している。Donald Trump米大統領は25年末の大統領令で、月面開発と並行してシスルナの脅威に対抗する能力の確保を命じており、遠方の宇宙からの攻撃も想定しているとみられる。

日本の防衛省も25年にまとめた宇宙領域防衛指針でシスルナへの関心を示しているが、現時点では対応できる状況にないとされる。このため、将来のリスクを見据え、宇宙監視能力のあり方を巡る議論を早期に始める必要があるとしている。

日本に求められるルール形成

月面開発では、インフラ構築に関する国際ルールが十分に整っていないことも大きな課題になっている。最初に基地を築いた国が主導権を握りやすく、適地も限られるため、拠点整備そのものが地政学上の優位につながる可能性がある。

ロシアが加わる中国陣営も30年代半ばの基地建設を計画している。これに対抗するように、NASAは今回の発表で基地予定地に拠点を築き、境界線を設ける構想を明らかにしている。

宇宙条約は国家による天体の領有を禁じており、米国は同条約や日米などが参加するアルテミス合意の尊重を掲げる。それでも、大国が相互干渉の防止を名目に拠点の囲い込みを進める懸念は残る。

日本には、安全保障環境の変化に目配りしながら、秩序を保つ国際ルールや行動規範の確立に力を注ぐことが求められる。アルテミス計画で官民の技術を生かし、宇宙の平和利用を促しつつ独自の立ち位置を確立できれば、望ましいルールづくりに向けた発言力の強化にもつながりそうだ。

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