政府、首都直下地震の減災目標を引き上げ、死者9千人以下へ計画改定

政府、首都直下地震の減災目標を引き上げ、死者9千人以下へ計画改定
首都直下地震 減災強化へ

政府は首都直下地震に備える緊急対策推進基本計画を2015年以来で改定し、今後10年間で想定死者数を最大1万8000人から半数以下に抑える目標を掲げた。火災対策や在宅避難の促進を柱に、従来の4倍にあたる189項目の目標を設け、企業の事業継続や偽情報対策まで対象を広げる。

ハイライト

  • 政府が首都直下地震の死者数減災目標を従来の「おおむね半減」から「半減以上」へ引き上げ、毎年数値を公表する方針。
  • 感震ブレーカー設置率目標を緊急対策区域で35年度までに100%に大幅引き上げ、焼失棟数を7割減らす効果を見込む。
  • 企業のBCP策定率目標を大企業で35年度100%、中堅企業で80%に設定し、SNS偽情報対策体制も計画に新規盛り込み。

火災対策と在宅避難の数値目標

日経が報じたところによると、改定後の計画では、政府が25年12月に公表した新たな被害想定を踏まえ、建物の全壊・焼失が約40万棟に上る事態を前提に減災目標を見直している。これまで「おおむね半減」としていた目標を「半減以上」に引き上げ、達成状況や課題は専門家の意見を聞きながら毎年確認し、数値を公表する方針だ。

被害の7割を占める火災への対応では、強い揺れを感知すると自動で通電を遮断する感震ブレーカーの設置拡大を急ぐ。防災対策を重点的に進める1都9県の緊急対策区域での設置率は20%にとどまるが、35年度におおむね設置される状態をめざし、従来の25%目標から大幅に引き上げる。

内閣府の試算では、緊急対策区域で感震ブレーカーを100%設置できれば、焼失棟数を7割減らせるという。避難所の集中による混乱を見据え、計画には「在宅避難の促進」も新たに盛り込み、食料品を3日分以上備蓄する家庭の割合を25年度の60%から35年度に100%へ引き上げるほか、年1回以上の防災訓練を実施するマンションの割合も23年度の51%から33年度に100%とする。

企業継続計画と情報対応の広がり

改定計画では、企業の事業継続計画、BCPの策定も重要な柱に位置づける。大企業の策定完了率は25年度の75%から35年度に100%へ、中堅企業は25年度の54%から35年度に80%へ高める目標を設定した。

人工知能、AIの発達で災害時にSNS上の偽情報が広がりやすくなるなか、政府や自治体が状況を迅速に把握し、打ち消し情報を発信する仕組みの構築も計画に盛り込んだ。減災目標を数値で大きく積み増した一方、実際に普及や訓練、企業対応をどこまで進められるかが今後の実効性を左右する。

当サイトの以前の記事では、政府が2040年代以降の原子力発電所の建て替えについて、2〜5基(2040年代)や11〜14基(2050年代)といった数値目標を盛り込む方針を取り上げました。巨額の初期投資と長期の建設期間を前提に、公的融資や固定費回収の枠組みなど、民間が投資判断しやすい制度設計と国のリスク分担が目標達成の鍵になる点を整理しています。

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